PC管理に追われていた情報システム部が、業務を大幅に効率化した方法は

テレワークの定着で大きな課題となったPC管理

株式会社 寺岡精工
情報システム部
インフラサポート 係長
下村 彰宏氏

コロナ禍で多くの企業で普及が進んだテレワーク。これにより様々な業務に大きな影響があった。その1つがPC管理だ。オフィスだけでなく従業員の自宅などからPCを利用する機会が増え、社内のリソースやクラウドに外部接続するノートPC、タブレットなどが一気に増加するからだ。分散したPCの導入からキッティング、ヘルプデスク、故障対応などに加え、拡大するサイバー攻撃に対処するセキュリティ対応も増加した。

このような状況では、情報システム部門の業務は管理に追われてしまい、DXの推進といった新しいニーズに応えることも難しくなる。

こうした課題を新しいアプローチで解決したのが寺岡精工だ。1925年創業の同社は『他に造れぬものをつくる』技術力を背景に、POSレジスタ、自動包装機、電子はかり、ラベルプリンタなど、世界初・業界初も含めた様々な製品を世に送り出してきた。

「コロナ禍以降、特に売り上げを伸ばしているのがセルフレジです。以前から人手不足を背景にレジ業務の負担を減らすための導入は進んでいましたが、『対面での接客時間を短くしたい』『キャッシュレスで決済したい』というニーズが増え、スーパーやコンビニエンスストアなどで一気に普及が進んでいます」と語るのは同社の下村 彰宏氏だ。

以前は寺岡精工でもPC管理に課題を抱えていたという。同社では国内141拠点で約3500人を超える従業員が働いているが、これら大量のデバイス管理を担う情報システム部では従来、PC調達に関連する業務の煩雑さが大きな課題になっていたのだ。

「当社は事業部門ごとに独立採算制をとっており、PCの調達は各部署が予算に合わせて経費で購入します。見積りを依頼してくるPCはメーカーや機種が統一されておらず、我々がその都度、メーカーと各部門の間に入って価格やスペックを交渉しなければなりませんでした。購入後も窓口である情報システム部に送られてきたPCを1台1台キッティングしてから全国の拠点に配送する手間がかかり、その数は年間300台以上にのぼっていました」と下村氏は振り返る。

同社では、費用をかけずにその管理業務を減らすことに成功したという。次ページ以降ではそのアプローチについて紹介したい。

PC調達に関連業務を劇的にシンプル化した方法とは

同社が導入したのは、PCなどのデバイス調達を各企業専用のWebページから行えるようにする、デル・テクノロジーズ(以下、デル)の「プレミアページ」だ。PCを購入する際、CPUやメモリ、HDD/SSDなどのスペックは何を選べばいいのか、知識がある程度なければ迷うところだが、プレミアページでは購入対象となる推奨機のスペックを事前に細かく設定しておくことができる。

寺岡精工はプレミアページの開設と同時に、デルのノートPC「Latitude シリーズ」とデスクトップPC「OptiPlex シリーズ」を推奨機に設定。ストレスなく業務を行えるスペックを情報システム部が予め設定し、各部門は推奨機の中からニーズに合ったPCを、専用Webページから24時間いつでも自由に注文できるようにした。

プレミアページの管理画面

「当社では以前から、コストパフォーマンスに優れたデルのPCが多く使われていました。デルのプレミアページを導入したのは、PC調達の合理化を図るためでもありますが、経理上、『資産』ではなく『経費』として計上できる価格でスムースに業務が行えるスペックのPCを揃えるのは、デル以外だと難しいのが実情です」と下村氏は説明する。

プレミアページの導入後、情報システム部の業務は大幅に効率化したという。

「PCを注文したい担当者は、プレミアページ内でいつでもタイムリーに価格を見ることができるため、情報システム部に見積依頼をかける必要がなくなりました。ページから直接注文できるので、互いにノンコア業務にかける工数を減らすことができたのです」(下村氏)

プレミアページからの注文は直接デルに届き、PCはダイレクトに各営業所や部門に納品される。このため情報システム部の大きな負担となっていたキッティングや配送作業が激減し、「運送費も大幅に削減されました」と下村氏は話す。

注文から配送までの納期や輸送状況もプレミアページ上にリアルタイムに表示されるため、「いつ届くのか」など問い合わせる必要もない。

納品される際に課題になるのがPCの初期セットアップやキッティングだが、同社ではプレミアページの導入を機に、ユーザー自身が簡単にセルフで設定作業が行えるマニュアルを作成して提供している。

「当社はシステムやソリューションを提供している会社なので、PCのセットアップやキッティングぐらいは誰でも覚えておいて損はないと考えました。実際にユーザー自身にやってもらうと経験値が上がり、ITスキルの向上や現場作業のトラブル回避などにつながります。プレミアページでPCの推奨機を定めたおかげでマニュアル化もしやすくなりました」(下村氏)

業務要件によっては、推奨機以外のPCを導入したいという要望が寄せられることもある。その場合は情報システム部が担当者と直に対応し、他メーカーのPCを調達することもある。ただし、プレミアページからの注文がスタンダードになったため、PC調達にかかわる工数は大幅に削減されたという。

「OSの更改などがあると、以前は毎日キッティング作業に追われ、遅くまで残業せざるを得ない状況でした。しかしプレミアページを導入してからは、そうした手間がなくなったためほかの業務にも大きく注力することができるようになり、情報システム部の働き方改革にもつながっています」と下村氏は話す。

コロナ禍で実感したグローバル企業デルの強み

ワールドワイドに事業を展開するデルのポテンシャルにも満足していると下村氏は語る。新型コロナウイルスの感染拡大や国際情勢の変化などで、一般的なPCメーカーの納品が数カ月待ちというニュースが流れた時期でも、「デルは注文すればすぐに届く体制を維持していました。PCがなければ仕事にならない時代ですから、調達能力が安定しているのは本当に心強い。デルの強みを感じます」(下村氏)。

グローバルに拠点を持つ寺岡精工では従業員の海外出張も多い。その際には日本から持っていったノートPCを海外でも使うことになるが、世界中にサポート体制を持つデルなら万一トラブルが起っても、現地で修理やパーツ交換などのサービスを受けることができる。これも「安心材料の1つ」だと下村氏は語る。

「仕事柄、多くのPCメーカーさんとお付き合いしてきましたが、PCそのものはスペックが同じであれば性能に大きな違いはないデバイスですので、営業担当の対応やサポートが重要な判断基準になってきます。その点、デルは海外メーカーなのにドライな部分がまったくなく、いつでも親身に相談に乗ってくださいます。それもプレミアページを選んだ大きな理由かもしれません」(下村氏)

今後のPC環境の課題として、まず2023年にWindows 8.1のサポート終了にともなう大規模リプレースへの準備が迫っている。「その際にもプレミアページを活用して、スムースに切り替えを行いたいと思います」と下村氏は大きな期待を寄せている。

日経BP社の許可により、2022年7月14日~ 2022年10月5日掲載 の 日経 xTECH Active Special を再構成したものです。
https://active.nikkeibp.co.jp/atcl/sp/b/22/06/09/00720/

<前の記事へ   次の記事へ>

About the Author: Dell Technologies