働き方改革を加速させる新手法 USB Type-Cモニターで社員満足度向上 先進企業に学ぶ働き方改革のこれから

外付けモニターが乱立するオフィスを変革したい

コロナ禍によってテレワークが浸透し、企業の働き方は大きく変わった。仕事をする場は、必ずしもオフィスである必要はない。普段は在宅やリモートで仕事を行い、必要なときに出社する。そんな働き方も広がりを見せている。

TISインテックグループの中核企業であるTISもその1社である。新オフィス開設を機に、時間や場所にとらわれず、社員自らが働き方をデザインできるオフィス作りを目指している。

その一環として、注目したのが外付けモニターだ。デスクトップPCで仕事をしているとPC本体とモニターが固定されているため、自席から動けない。それではグループアドレス環境で社員のコラボレーションを促すことは難しい。

そこでノートPCを採用したが、これでは画面が小さく、業務によっては大画面のモニターが必要になる。中には、複数台のモニターを外付けして作業する社員もおり、オフィス内に外付けモニターが乱立していたという。その結果、外付けモニターがデスクの上に居座り、人が動かない——。

この状況を改めるため、TISは逆転の発想で挑んだ。オフィス全体はコミュニケーション/コラボレーションを促す空間に変え、外付けモニターは必要なところに常設する。外付けモニターを利用したい社員は、そこに移動して作業するというスタイルだ。

ただ大画面のモニターを用意しただけではない。社員の移動の負担を減らし、オフィスのどこでも同じ環境で作業できるように様々な工夫も施した。TISが逆転の発想で挑んだ“モニター変革戦略”とはいかなるものか。それは社員の働き方をどのように変えたのか。次頁以降で、その取り組みを詳しく紹介したい。

TISが逆転の発想で挑んだ“モニター変革戦略”とは?

TIS株式会社
管理本部
情報システム部 主査
柳井 義規氏

TISは半世紀にわたって、幅広い産業をITの力で支える独立系総合ITサービス企業だ。デジタル化の進展を見据え、新しいグループビジョン「Create Exciting Future」を策定。「既存の業界・市場の改革にチャレンジするイノベーターとして、お客様ビジネスの革新と市場創造を支援しています」と話すのは同社の柳井 義規氏だ。

企業価値をさらに高めていくため、TISは以前から働き方改革に積極的に取り組んできた。それを一気に推し進める好機が到来した。東京・豊洲に新オフィスを開設することが決まったのだ。新オフィスを事業の中核拠点とし、西新宿本社には本社機能を残す。「分散するオフィスを集約してグループ間コミュニケーションを促し、事業シナジーをより強化するためです」と同社の弟子丸 亜弓氏は話す。

TIS株式会社
管理本部
総務部 主任
弟子丸 亜弓氏

もう1つの狙いはBCP対策の強化だ。東京2拠点体制にすることで、災害時でも、どちらかのオフィスで事業を継続できるようにしたわけだ。

グループシナジーを発揮するためには、社員一人ひとりが主体的に行動することが肝要となる。「『環境』を変えることで、社員が考えて『行動』するようになる。それによって『意識』が変わり、主体性が生まれます。整然と並ぶ机に向き合って黙々と作業するのではなく、人が動いてくれることを前提にしたオフィス作りを考えました」と弟子丸氏は説明する。

TIS豊洲オフィスは2021年5月から本格稼働を開始した。TISインテックグループの社員約5200人が在籍する。オフィス内には執務用のグループアドレスエリア、1人で作業に集中するためのフォーカスエリア、会議やプレゼンテーション用のコラボレーションエリアなどがある(写真1)。業務用PCは機動性の高いノートPCが基本だ。オフィス内のどこにいても、社内ネットワークに無線でつながる。

写真1●TISの豊洲新オフィス

オフィスはABWコンセプトに基づくグループアドレス環境。その日の仕事の内容によって、自由に場所を選べる。オフィスのコアを囲むようにメイン動線を配置し、その動線上にミーティング席など人が集まるエリアを設け、コミュニケーションが生まれやすいようにした

オフィス内には合計約800台の外付けモニターが設置されている。そこに移動し、ノートPCをつなげば、大画面で作業できる。この外付けモニターに選択したのが、デル・テクノロジーズの27インチワイド USB Type-Cモニター「P2720DC」である。

電源不要 PCとモニターをケーブル1本でつなぐだけ

TIS株式会社
管理本部
総務部 主任補
杉野 未有氏

従来の外付けモニターは24インチ。新モニターはより大画面になったが、それ以上に高解像度によるメリットが大きいという。P2720DCはQHD(2560×1440ピクセル)品質で、表示域がフルHDより広い。「解像度が上がれば、より多くの情報をハイクオリティな画面で見ることができ、仕事もやりやすくなります」と柳井氏は話す。

デザイン性も評価した。「デル・テクノロジーズのモニターはベゼルが薄く、スタイリッシュ。メーカーのロゴもさりげなく、色味も落ち着きがあります。圧迫感がなく、白を基調としたオフィス空間と非常に調和しますね」と同社の杉野 未有氏は述べる。

もう1つの重要なポイントが、USB Type-Cに対応していることだ。USB Type-Cケーブル1本で接続したPCの映像入出力に加え、PCの給電(最大65Wまで)も可能だ。「見やすい大画面で作業しながら、つないであるUSB Type-C対応ノートPCへの給電も同時に行うことができます」(弟子丸氏)。

新しい働き方はオフィスワークや在宅ワークを状況に応じて使い分けるフレキシブルなものになる。「ノートPCを持ち運ぶことになるため、移動の負担はできるだけ軽減させたかったのです」と柳井氏は話す。PC本体とAC電源アダプターを一緒にカバンに入れると、かさばる上、重さも増す。しかし、USB Type-Cモニターなら、AC電源アダプターを持ち運ぶ必要はない。「移動の負担を減らすという狙いにマッチしました。電源を気にせず、すぐに作業に専念できるメリットも大きい」と柳井氏は語る。

当初のモニター設置台数は600台を予定していたが、現場のニーズをくみ取った結果、追加で200台程度必要になった。「コロナ禍による半導体不足が叫ばれる中、デル・テクノロジーズは追加分も含めて予定通りに納品してくれました。事前の検証の際も、検証機を素早く提供してくれました。デル・テクノロジーズの機敏な対応力には感謝しています」と柳井氏は語る。

モニターが変われば、働き方は大きく変わる

新オフィスのコンセプトを示した際は、エンジニアやExcelの大きなファイルを開く作業者から「外付けモニターがないと仕事ができない」という声が上がっていた。P2720DCの導入に伴い、これまで管理本部から貸し出していた外付けモニターは撤廃したが、追加でモニターを用意してほしいという声は上がっていないという。「以前は1人でモニターを2台使う社員もいたが、今は1台のモニターで十分作業できているようです。見やすく、使いやすいという声も多く、大画面で高解像度なモニターの満足度は非常に高いようです」と柳井氏は話す(写真2)。

写真2●新オフィスに並ぶUSB Type-Cモニター

デル・テクノロジーズのUSB Type-Cモニターは会議スペース以外の全エリアに設置されている。USB Type-C対応ノートPCをモニターにつなぐだけで、高解像度の大画面で快適に作業を行うことができる。接続に必要なケーブルはUSB Type-Cケーブル1本だけ。さらに、接続時は対応ノートPCへ給電(最大65Wまで)もされる

オフィスも広々としてすっきりした。在宅でできる仕事は在宅で行い、大画面が必要な作業は環境の整っているオフィスで行う。働き方を上手に使い分ける社員も増えつつある。

また、P2720DCはモニターを反転させて縦型表示も可能だ。モニターは座席と座席の中間の位置に配置されており、隣り合って座ると2人で1台のモニターを見ることができる。「縦型にすると双方の視野に画面が収まるので、エンジニア同士でコーディングチェックをするときなどに利用しているようです」(弟子丸氏)。

導入後、トラブルや故障は一切発生していない。製品の信頼感は一層高まったという。「万が一、故障してもデル・テクノロジーズのモニターなら3年間保証してくれます。すぐに修理や代替機を提供してもらえるので、安心です」(杉野氏)。

P2720DCを導入しているのは、今のところ豊洲オフィスだけだ。評判がいいため、これを西新宿本社にも導入してほしいという声が上がっている。「リプレースのタイミングを見ながら、今後はほかのオフィスに導入することも考えています」(柳井氏)。

コロナ禍によって、オフィスに求められる要件も以前とは変わりつつある。今後は社員の要望に耳を傾け、改善すべきところは改善し、より働きやすいオフィスづくりを継続していく。同時に社員のコミュニケーション/コラボレーションを促進し、グループシナジーの最大化を目指していく考えだ。

日経BP社の許可により、2022年2月18日~ 2022年5月13日掲載 の 日経 xTECH Active Special を再構成したものです。
https://active.nikkeibp.co.jp/atcl/sp/b/22/01/24/00645/

<前の記事へ   次の記事へ>

About the Author: Dell Technologies