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    建設・土木業界で働き方改革が進まなかった理由

    重たいアプリも客先・自宅で使うが常識に/進化するモバイルWSの使い道

    • ついに始まった建設・土木業界のデジタル化。その背景にあるものとは

      デジタル化が遅れていると言われ続けてきた建設・土木業界。数年前からi-Constructionの推進やBIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling)が叫ばれてきたが、業界全体にデジタル化が浸透しているとは言い難い。しかしこのような状況も、徐々に変わりつつある。その1つの要因となっているのが、働き方改革に対するニーズの高まりである。

      日経BP総合研究所
      フェロー
      桔梗原 富夫

      2020年に予定されていた世界的スポーツイベントに向けて、幅広い業界が数年前からテレワークを中心とした働き方改革に取り組んできた。イベント自体は延期になったものの、今年に入ってから感染症が世界的に拡大。これに伴いテレワークが一気に加速した。この流れの中で建設・土木業界でもデジタル化が進みつつある。

      建設・土木業界のデジタル化については、もう1つ重要なポイントがある。それはデバイスの進化だ。この業界では、高い処理性能が必要な3次元CADや各種エンジニアリングツールを利用するため、設計者やエンジニアのほとんどはデスクトップ型のワークステーションで実行されていた。しかし最近では、高機能で持ち運びが用意なモバイルワークステーションが登場し、大きな注目を集めている。

      それでは建設・土木業界におけるテレワークは、どの程度まで進んできたのか。そしてそれを支えるモバイルワークステーションの進化により、外出先・在宅でどんな業務が可能となるのか。建設・土木業界のデジタル化に詳しいキーパーソンに、日経BP総合研究所 フェローの桔梗原 富夫が話を聞いた。

    • テレワーク、生産性向上、人材確保にモバイルワークステーションがカギを握る理由とは

      デル・テクノロジーズ株式会社
      クライアント・ソリューションズ統括本部
      ビジネスディベロップメント事業部
      アウトサイドスペシャリスト マネージャー
      高山 良文氏

      感染症の拡大防止のため、この半年間で急速に進んできた働き方のデジタル化。既に多くの企業がモバイルPCを活用したテレワークを推進しており、今後のウィズコロナ/アフターコロナ時代を見据え、その働き方を「ニューノーマル(新たな常態)」として定着させようという動きも目立つようになってきた。それでは建設・土木業界ではどのような状況なのか。建設・土木業界に詳しいデル・テクノロジーズの高山 良文氏は次のように説明する。

      「建設・土木業界はテレワークもさることながら、IT活用そのものがまだまだこれからという状況です。そもそも、この業界は『会社や現場に来て当たり前』という慣習が色濃く残っており、テレワークに否定的な人も少なくありません。しかしこのコロナ禍によって、社員を感染リスクからどう守るか、そのためには働き方をどう変えていくべきかという議論が活発化してきました。先日もある大手ゼネコンの方とWeb会議を行う機会があったのですが、ITを駆使したものづくりやデジタルツインへの取り組みが重要な経営課題になっていると語っており、私たちが思っていた以上に危機感が高まっていると感じました」

      これに加え、いわゆる「3K(きつい、きたない、危険)」と言われる職場イメージを払拭しなければ、若い人材が業界に入ってくれないという課題もあり、これもデジタル化やテレワーク化に拍車をかける要因になっているという。

    • デル・テクノロジーズ株式会社
      クライアント・ソリューションズ統括本部
      ビジネスディベロップメント事業部
      クライアント テクノロジスト マネージャー
      今野 立也氏

      「既にベテラン社員の定年退職に伴う働き手の減少が始まっており、次の時代を担う若手をいかにして確保するかが、企業生命を大きく左右する経営課題になっています」と話すのは、デル・テクノロジーズの今野 立也氏だ。この課題に対応するには若手にとって魅力的な職場イメージを作り上げる必要があり、そのためには積極的なデジタル化が欠かせない要素になっているわけだ。

      「例えばデジタルネイティブ世代のインターン生に、動作の遅い、古いCAD端末を渡したら、もうそれだけで『ここに入社しても大丈夫なのか』と思われてしまいます。また、在宅でも仕事ができる環境を整備してもらえるのか、そのために快適なデバイス環境を用意してくれるのか、といったことも重視されるようになっています」(今野氏)

      このようなニーズに対応するため、最近になって注目度を高めているのが、モバイルワークステーションだ。その背景には製品の大きな進化がある。

    • 「2kgを切る軽さ」と「高性能」を両立した製品が登場

      その進化とは、モバイルワークステーションの軽量化・薄型化が急速に進んだことだ。

      「『モバイルワークステーション』という製品分野は決して新しいものではなく、かなり古くからありましたが、従来製品は、重量が重いため持ち歩きには適していませんでした。ワークステーションに求められる処理能力を確保するには、高性能なCPUや大容量メモリー、さらにGPUも搭載する必要があったからです。そのためモバイルワークステーションを購入するメリットが小さく、導入されるワークステーションのほとんどがデスクトップ型だったのです」(今野氏)

      しかし現在では、2kgを下回る重量のワークステーションが登場している。その代表例がモバイルワークステーション5000シリーズ Dell Precision 5550だ。

       

      Dell Precision 5550の外観とスペック

      この製品は1920X1200ピクセル/15インチのディスプレーを備え、CPUには第10世代 インテル Core プロセッサー・ファミリー(Hシリーズ)またはインテル Xeon Wプロセッサーを採用。ECCメモリーを最大64GB、NVIDIA Quadro T1000/T2000 GPUを搭載可能なハイパフォーマンスモデルだ。それにも関わらず、重量は1.8kg、厚さは11.6mmに抑えられている。これなら持ち運んで使うのもあまり苦にならないだろう。

      「軽さ・薄さと高性能を徹底的に追求したのがDell Precision 5550ですが、もう1つ注目していただきたい点があります。それは画面の縦横比とベゼルサイズです」と今野氏は話す。

      画面の縦横比は、最近のノートPCに多い16:9ではなく、16:10に設定。これはAutoCADなどを利用する際に最適な比率となっており、作業効率の向上に貢献するのだという。ベゼル部分も極めて細くなっており、画面占有率は89%に達している。

      これに加えてモバイルワークステーション5000シリーズには、もう1つ注目したいモデルがある。それがDell Precision 5750だ。

       

      Dell Precision 5750の外観とスペック

       

      この製品は1920X1200ピクセル/17インチのディスプレーを装備。重量は2.1kgと若干増えるが、17インチモデルとしては世界最小クラスだ。画面占有率はDell Precision 5550よりもさらに大きい94%。なおGPUはNVIDIA Quadro T2000/RTX3000が搭載可能だ。

      「これだけ大きな画面があれば、作業中の没入感も極めて高くなります。自宅作業でも15インチは小さいと感じる方は、この17インチモデルが適しているといえるでしょう。働き方改革では生産性向上も重要な課題になりますが、このモデルならそうした課題にも対応できるはずです」(今野氏)

    • モバイルワークステーション約4500台を導入した国内事例も

      Dell Precisionシリーズはユーザーからも高い評価を受けている。実際の導入は海外が先行していたが、日本でもこれを積極的に活用していこうという動きが加速しているという。

      「これはあるハウスメーカーのケースですが、Windows 10への完全移行に合わせ、モバイルワークステーションDell Precision 5000シリーズを約4500台導入した事例があります。同社は客先や自宅でも軽快に使える高性能ワークステーションが求めていました。主要メーカー製品を徹底的に検証した結果、高い処理性能、持ち運びの容易さ、世界最薄最軽量が評価され、この採用に至ったと聞いています。特に軽さと性能のバランスは、女性社員も持ち歩くことを想定していたため、最重要ポイントとなりました。モバイル化してもこれまでと変わらない性能が手に入ったと、実際にご利用いただいている社員様からも高く評価されています」(高山氏)

      圧倒的な軽さはDell Precision 5550/5750の最大の評価ポイントとなっており、これだけの画面占有率も、ほかにはないと高山氏。もちろんコストパフォーマンスも極めて高い。さらにサポート体制も高く評価されている。デル・テクノロジーズは日本国内(宮崎県)にサポートセンターを設置し、現地のスタッフを採用。ここを中核として、日本企業が求めるきめ細かいサポートを提供しているのだ。

      テレワークで利用するとなるとセキュリティ確保も気になるが、これに関してもデルなら安心できる。Dell SecureWorksやVMware Carbon Blackなどのセキュリティ製品も、ワンストップで提供されているからだ。建設・土木業界では政府関連の仕事や自治体の入札案件などを扱うことも多く、徹底した情報保護が欠かせないが、しっかりしたセキュリティ製品を組み込んだ状態であれば、安心して社員に配布できる。

      加えてもう1つ注目すべき点が、サプライチェーンの強靭さである。

      「デルはBTO(Built To Order)という注文生産方式を採用しており、サプライチェーンをグローバルレベルで徹底的に管理しています。そのため在庫販売に比べて納期が安定しており、納品までの期間も他社に比べて短いことが多い。今回のコロナ禍で急いで導入したいというご要望も数多くいただきましたが、その多くに対応できました。1000台規模の導入案件も数多くあり、2020年第1四半期には日本でもシェアNo.1(※)になっています」(今野氏)。

      Dell Precision 5750は高性能GPUを搭載することで既に「VR Ready」となっているが、今後は土木業界で利用が進む「点群データ」も、モバイルワークステーションで取り扱えるようにしたいと高山氏は語る。「点群データは建設業界でもニーズが高まっており、今後これらの業界のデジタル化において、重要な役割を担うことになるはずです」。

      このような形でデジタル化も進めば、建設・土木業界の働き方も変わっていくはずだ。軽量・薄型のモバイルワークステーションは、同業界の“常識”を大きく変革する可能性を秘めている。

      ※出典:米IDCの調査で2020年第1四半期

    • 日経BP社の許可により、2020年7月27日~ 2020年11月5日掲載 の 日経 xTECH Active Special を再構成したものです。