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    噂の新ストレージ製品はどこがすごいのか

    10年先を見据え、グローバル企業のエースたちが開発した新ストレージの衝撃

    • 既にデータを保管・提供するだけでは十分ではなくなったストレージ

      データドリブン経営が、グローバルな標準となりつつある現在、データを保管・提供するストレージへの要求も大きく変化しつつある。

      従来のストレージは、多様なデータを確実に保管するとともに、収集したデータを高い信頼性で効果的、効率的に提供することが求められた。その重要性は現在でも変わらない。しかしこれだけでは十分ではなくなってきているのだ。

      多彩なデータから、より早く、より深く、継続的にインサイトを引き出すには、より低い運用負担でデータ活用の俊敏性を確保しつつ、RDB、SAPだけでなく、コンテナといった新たなワークロードへの全方位的な対応や拡張性、エッジ/コア/クラウドへの適用性も実現しなければならないからだ。そのためには、運用やデータアクセスの簡素化、操作性の向上や一貫性などを実現し、長期化間にわたり確約していくことが求められるようになった。

      これらの要求への対応を、ミッドレンジストレージの世界で実現するために登場したのが、Dell Technologiesの「PowerStore」だ。

      同社はご存じのとおり、2016年9月にDellとEMCが経営統合して誕生したグローバルなIT企業グループ。両社がそれぞれミッドレンジストレージ製品を提供していたこともあり、Dell EMC UnityやDell EMC SCシリーズ、Dell EMC XtremIOといった、複数のラインアップを展開している。PowerStoreはこれらの製品が持つ特徴的なテクノロジーや、これまでのユーザーからのニーズを反映して開発された、まったく新しい次世代のミッドレンジストレージ製品である。

      しかし単にラインアップが1つ増えただけ、と捉えるのは誤りだ。 PowerStoreは2030年を見据え、根本からアーキテクチャを見直し、ストレージ部門のエース級開発者を集めて開発が進められてきた「今後のミッドレンジストレージのトレンドを牽引する可能性を備えた、極めて戦略的な製品」なのだという。

      それでは具体的にどのような特長を備えているのか。そのコンセプトや具体的な機能について紹介したい。

    • 「PowerStore」が持つ3つの開発コンセプトとは

      「PowerStoreの設計上のコンセプトは、大きく3つの柱があります。それは『データ中心型』『インテリジェント』『適用性』です」と説明するのは、Dell Technologies の森山 輝彦氏だ。

      Dell EMC(Dell Technologies)
      モダンデータセンター事業本部
      システム本部 ディレクター
      森山 輝彦氏

      まず1つ目の柱である「データ中心型」に関して、PowerStoreはパフォーマンス、スケーラビリティ、およびストレージ効率のあらゆるトレードオフを排除するように設計されている。 クラウドを中心とした新世代のシステムが既存のインフラストラクチャとシームレスに統合できるよう、柔軟かつ動的なスケーラビリティを実現しているという。

      また、企業はミッドレンジストレージに対して常に最新のテクノロジーを求めており、かつライフサイクルを延ばして長期的に利用することを望んでいる。そのために、PowerStoretでは開発サイクルを短縮して最新のテクノロジーを即時に適用できるよう、コンテナやVMwareによるシステム基盤を採用した。

      PowerStoreは、アプリケーションのパフォーマンスを最大化するために、エンドツーエンドのNVMeをサポートし、ユーザーのニーズに応じてスケールアップおよびスケールアウトできる統合ストレージである。単一のアーキテクチャで、あらゆるアプリケーションやデータベースのデータ、物理および仮想LUNからコンテナ、従来のファイルに至るまで対応し、ワークロードに究極の柔軟性とインフラストラクチャの簡素化を実現している。

      加えて注目したいのは、ミッドレンジ製品としては破格のスケーラビリティの高さである。PowerStoreの最小単位は、コントローラーの役割を果たすノード✕2と、最大25基のドライブを収容できるドライブシェルフ✕1で構成される。これが1アプライアンスとして、2Uの筐体に収められているのだ。これを拡張する場合には、大きく2つのアプローチがある。

      1つはドライブを格納するドライブシェルフを追加する「スケールアップ」アプローチ。1台のアプライアンスにつき、最大3つの拡張シェルフを追加できる。もう1つはノードを追加し、これらを統合するという「スケールアウト」アプローチ。アプライアンス単位(2ノード構成)で8ノードまで拡張可能で、これによってI/Oパフォーマンスを増強することができる。アプライアンスのドライブシェルを増設する「スケールアップ」と、ノードを追加して統合する「スケールアウト」の2つの方法が併用でき、8ノードでシェルフを最大限に拡張した場合、合計16シェルフ構成となる(図1)。

    • 図1●ミッドレンジ製品としては破格ともいえるPowerStoreのスケーラビリティ

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    • 「各ノードが高速CPUと大容量メモリを搭載していることも大きな特長です。エントリーモデルのアプライアンスは32コアCPUと384GBメモリ、最上位モデルでは112コアCPUと2,560GBメモリを搭載しています。これによって従来製品に比べ、7倍のパフォーマンスと1/3のレイテンシを実現しているのです(最大構成時での比較)」(森山氏)

    • 自分自身を自律的に管理、ソフトウエアによる自動運用も可能

      アプライアンスにはコントローラーのCPU負荷を軽減しながらより高いパフォーマンスを発揮できるNVMe(Non-Volatile Memory Express)フラッシュでパフォーマンスを最大化するように設計されており、DRAMの速度に近いパフォーマンスを提供するIntel Optane SCM(Storage Class Memory)を搭載することで、さらに高速な処理を要求するアプリケーションをサポートする。

      Dell Technologies のオールフラッシュ製品は重複排除や圧縮によって格納データ量を削減する機能が搭載されているが、PowerStoreではさらに進化し、Intel QuickAssistテクノロジーを利用したハードウエアアクセラレーションにより、常にデータ削減機能が「ON」状態になっている。そして注目すべきは、その削減効率だ。

      同社では一定の条件下でデータ削減効率を保証する「Future Proof Program」というプログラムを実施しているが、Dell EMC XtremIOでは「3:1」だったデータ削減効率保証の条件を、PowerStoreでは「4:1」にまで拡張している。

      「国内でもいくつかのベータ検証が行われていますが、そのいずれにおいても従来以上のデータ削減効果が得られており、社内検証では20:1といったような劇的な効果が出るようなケースもありました」と森山氏は述べる。

      2つ目の柱が「インテリジェント」だ。IT管理者の負担を減らし、より効率的な人員配置を行うことは組織にとって最優先事項であるが、 PowerStoreはストレージにインテリジェント性を持たせることで、一貫した操作を自律的に実行することを可能にしている。

      このコンセプトにおける重要なキーワードが「プログラマブル」「自律化」「プロアクティブな健全性分析」の3つだ。

      最初のキーワード「プログラマブル」としては、アプリケーション開発を合理化し、VMwareとの統合、および主要なDevOpsとオープン管理フレームワークの幅広いエコシステムとの統合により、ストレージワークフローを自動化することができる。具体的にはVMware(vROプラグイン)、Kubernetes(CSIドライバー)、Ansible(Ansibleモジュール)などのプラグインを利用可能だ。(図2)。

    • 図2●プログラマブル・インフラ

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      「プログラマブル」なストレージインフラを実現しており、VMwareやKubernetes、Ansibleなどから、ソフトウエアによる運用が行える
    • 次に「自律化」は、PowerStoreが自分自身の管理を自律的に行い、稼働状況の最適化を行うというもの。例えばアプライアンスを追加したときには、追加されたアプライアンスの検知とシステムへの取り込みを自動的に実行する。またボリュームアロケーションに関しても、PowerStoreのオンボード機械学習エンジンにより、クラスターマネージャーは継続的にクラスターを監視し、容量の使用状況に配慮しながら、最適配置のレコメンドを管理者に提示。このレコメンドを受け入れる場合には、管理画面で「Accept」ボタンを押すだけで、自動的にボリュームの再配置が実行される。インテリジェントなデータ配置を使用して、新しいアプライアンスとのストレージボリュームのバランスを取り、プロビジョニングでシステムの使用率とパフォーマンスを向上させる。これにより、ボリュームの分析とリバランスに必要なITスタッフの時間を大幅に削減することが期待される。

      最後に「プロアクティブな健全性分析」では、SaaSベースの「CloudIQ」が日常的なストレージ監視を実施。機械学習を活用したインテリジェントな分析によって、容量予測やパフォーマンス予測、正常性に関する長期的な傾向分析などを行う。これによって運用負荷を下げながら、長期にわたる健全性を維持できるわけだ。

    • モジュラー型のOSを仮想マシンとして実装

      3つ目の柱である「適用性」は、「柔軟性」と捉えても良いだろう。ストレージOSのアーキテクチャ、ストレージOSの実装方法、そしてアップグレード方法において、高度な柔軟性を実現しているのである。

      まずストレージOSのアーキテクチャとしては、新しいコンテナベースのソフトウエアスタックとVMwareのハイパーバイザーを統合することで、新しいレベルへの適応性を実現し、アプライアンス上で直接ユーザーアプリケーションの仮想ホスティングを可能にしている。

      コンテナベースのモジュラー型アーキテクチャを採用したことで、OSのリブートを行うことなくアップデートや機能拡張を実行できる。つまりストレージを停止させることなく、メンテナンスを行うことができる。

      このストレージOSの実装方法もユニークだ。各ノード上でVMware ESXiが「オンボードハイパーバイザー」として動いており、管理者は、ハイパーバイザーにアクセスして、外部ホストで使用するのと同じ方法で独自のアプリケーションをPowerStoreアプライアンスに直接デプロイすることもできる。

      この機能は「AppsON」と呼ばれ、インフラストラクチャのシンプルさと密度が必要なデータ集約型のワークロード、ウイルス対策ソフトウエアの実行や、ビデオ監視システムの映像データの保存と解析など、低遅延でのデータアクセスが求められるアプリケーションなどを高速で動かせるのである(図3)。

      *注)ハイパーバイザーはPowerStore Xモデルにのみインストール

    • 図3●PowerStoreにおけるOSの構成とその実装方法

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      コンテナベースのモジュラー型アーキテクチャを採用したストレージOSが、オンボードハイパーバイザー上の仮想マシンとして動いている
    • 「代表的なユースケースとしては、工場や店舗のエッジコンピューティングでの利用が考えられます。センサーやカメラのデータをエッジで蓄積し、分析処理などを高速に行えます。また、データセンター側にもPowerStoreを採用することで、ストレージネイティブなレプリケーションも実現でき、仮想マシンをvMotionで移動させることも可能です。VMware Cloud Foundationにも対応しているため、ハイブリッドクラウド環境でのワークロードのポータビリティも確保しやすくなっています」(森山氏)

      そしてPowerStoreの発表に合わせて「Anytime Upgrade プログラム」という新たなサービスプログラムを提供するのも今回の大注目ポイントだ。このPowerStoreを長期にわたって利用するために、インフラストラクチャをアップグレードおよび拡張するための複数のオプションが用意されている。

      例えば、将来的に新しいアプライアンスがリリースされた際に、既存のノードを次世代のノードにアップグレードすることができる。また、より高いストレージ性能が必要になった場合には、上位モデルにアップグレードすることもできる。新しいライセンスや追加購入を必要とせず、既存のドライブと拡張エンクロージャは引き続き利用でき、無停止でアップグレードするサービスが「Anytime Upgrade プログラム」である。

      また、スケールアウトによる拡張をする際にも、アプライアンスの追加は「Anytime Upgrade プログラム」にて対応することが可能だ。新規ノードをディスカウント価格で追加できるという。

      次世代のコントローラー交換だけでなく、柔軟なアップグレードオプションに対応した「Anytime Upgrade Program」。アップグレードを3年以上待つ必要はなく、契約の中でいつでも行うことができ、アップグレードを実行してもサービス契約を更新する必要がないこともうれしい。

      このようにこれまでとは次元の異なる特長を有するPowerStore。当面は既存ストレージを使い続ける場合でも、今後10年間の方向性を見定めるために、注目しておくべき製品だといえそうだ。

    • 日経BP社の許可により、2020年5月18日~ 2020年8月9日掲載 の 日経 xTECH Active Special を再構成したものです。

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