• 装飾

    ビジネス環境とともに、大きく変わる働き方

    「全社規模のテレワーク」を一過性のもので終わらせず、持続させる方法は?

    • もはやテレワークを一時的な施策と捉えるべきではない

      事業継続に向けて、もはや不可欠なものとなったテレワーク。当初は「あくまで一時的な施策」と考えていた企業が多かったが、ここへきて、長期的な視野で考える必要性が高まっている。

      もちろん、テレワーク自体は最近登場したものではない。ただし、従来のテレワークは、家庭の事情で在宅勤務が必要になったり、頻繁に外回り業務が発生したりする一部の社員を対象にしたもの。限定的/例外的な仕組みであることが前提だった。

      一方、これからのテレワークは従来と根本的に異なる。例えば、外出自粛を背景とした在宅勤務は社員全員が対象。それゆえ、業務の生産性を維持・向上するには、全員にオフィスと同等の業務環境を提供することが重要になる。情報漏えいなどを防ぐため、セキュリティ対策にも高いレベルが求められるだろう。社員ごとに業務内容や自宅の環境が異なる中、こうした環境を全社レベルで整備するのは簡単ではない。

      加えて、この環境は長期間、維持していく必要がある。実際、今回の事態で「テレワークの全社展開は想像以上に負担が大きい」と感じているIT担当者は多いはずだ。

      もはや避けて通れない道ならば、その負担をどう最小化するかを考えるべきだ。これから求められるテレワーク環境を全社レベルで整備・維持していくには、どんな点に着目すればよいのか。テレワークの先進企業として、昨今の状況下でも迅速な全社テレワーク体制を構築したデル・テクノロジーズ(以下、デル)に、ポイントを聞いた。

    • テレワーク全社展開を阻む、3つの課題&解決策とは

      「これからのテレワークは、あらゆる働き方を支え得るものでなければなりません。それには多様なデバイスとクラウドを活用することが肝心です」とデルの酒谷 英希氏は語る。同社では現在、グローバルの社員の約9割にあたる12万人以上がテレワークを実施している。

      デル・テクノロジーズ(デル株式会社)
      VMware Specialist Team
      酒谷 英希氏

      デルは2020年1月に本社危機管理チームを立ち上げ、テレワーク環境の整備を含めた網羅的なBCP対策に着手した。テレワークの展開に当たっては、これまで在宅勤務経験のなかったコールセンターエージェントのような職種も対象に含めたという。1万2000人のエージェントに対し、わずか4日間でソフトフォンを配備。顧客からの問い合わせを在宅で受けられる体制を迅速に確立したのである。

      なぜデルは、このようなスピード感でテレワーク環境を整備することができたのか。ポイントは、次の3つの課題を抽出し、解決を図ったことにある。

      第1が「モバイルデバイスの管理」だ。今回のような状況では、これまでモバイルデバイスを配布してこなかった社員にも、業務用ノートPCなどを配布する必要性が生じる。これらを一気に配布することは物理的に難しい上、配布後の設定や管理を各社員に任せることも現実的ではないだろう。BYODの利用も視野に入れながら、どのようにデバイスの配布・設定・管理を簡素化するかを検討する必要がある。

      第2は「情報漏えいと情報共有」。テレワークでは社員同士がリモートで円滑に情報共有できなければ仕事が滞るが、一方で、それにより生じる情報漏えいのリスクは排除しなければならない。従来とは比べ物にならないほど多くの業務デバイスが社外で稼働する状況になるため、対策の仕組みも新たに考える必要がある。

      そして第3が、「SaaSの利用や認証」である。テレワークでは、様々なSaaSを使って仕事するケースが多くなるが、サービスごとにユーザー認証の方式が異なれば、業務の利便性は低下してしまう。かといって、同一パスワードの使い回しやメモ書きなどを行うことは、セキュリティ上望ましくない。

      「これらの課題をクリアするため、当社が描いたのが、エンドユーザーとIT部門の両方の生産性向上を可能にする『デジタルワークプレイス』を確立することでした」と酒谷氏。同社が提供する「VMware Workspace ONE」(以下、Workspace ONE)を活用することで、最適な環境を整えることにしたという。

    • カギになる「デジタルワークプレイス」とその実現方法

      デジタルワークプレイスとは、「業務で扱う様々なアプリやコンテンツに対し、あらゆるデバイスからシームレスかつ簡単にアクセスして利活用できるデジタル空間上の業務環境」を指している。Workspace ONEは、デバイス/アプリケーション管理に求められる機能を網羅的に提供することで、その実現を強力に支援するソリューションだ。

      具体的には、IDaaS(Identity as a Service)によるID管理、VDIとリモートアプリケーション、モバイルデバイス管理の機能を融合することで、デバイスの利用開始から構成管理、OSパッチ管理、アプリケーション管理と配信、セキュリティ管理に至るまでをトータルに実行できる。「これにより、エンタープライズレベルのセキュリティと、シンプルかつ効率的なライフサイクル管理を両立したテレワーク環境を、簡単に全社展開することが可能になります」と酒谷氏は話す(図1)。

    • 図1●Workspace ONEの機能群


      業務PCの管理に必要な機能を網羅的に備える。管理者向けにはデバイス管理の簡素化やセキュリティ強化、ユーザーには業務の利便性向上といったメリットを提供する

       

      中核となるのが、ポリシーベースの自動管理機能だ。まずデバイス側にインストールされたエージェントが、デバイスの状態をクラウド上の管理システムに報告する。この報告に基づき、ポリシーが順守されているか否かをWorkspace ONEが自動チェック。順守されていない場合は必要な対応を自動で実行する。

      これにより例えば、最新のOSパッチが適用されていなかったり、適切な暗号化が行われていなかったりした場合、ユーザーへ通知したり、業務アプリをブロックするといったセキュリティ上の管理が可能になる。また、デバイス内データの遠隔ロック/ワイプも可能なので、不正使用が疑われる場合にロック/ワイプするといった対応も実現できる。

      「管理者にとって肝になる、テレワーク環境の情報セキュリティを、効率的かつ網羅的に管理できるようになります」(酒谷氏)。一連の管理業務は、一部の権限をエンドユーザーに委任することもできる。そのため、国や地域、組織ごとに管理グループやサブグループを設置し、業務の負荷分散を図るといったことも可能だ。

    • デル製PCならキッティング~配布の手間も省ける

      デバイス配布時の手間も大きく削減できる。煩雑になりがちなデバイスの初期設定を自動化できるからだ。

      まず管理者は、部門/ユーザーごとに必要なアプリケーションなどの業務環境をリストアップしてWorkspace ONEに登録。その上で、デバイスをユーザーに配布すればよい。

      ユーザーは、一般的なアプリケーションと同様の手順で、デバイス側にWorkspace ONEのエージェントをインストールする。エージェントを立ち上げ、自分のIDとパスワードを入力してログインすると、管理者が事前に設定した業務環境が自動的にインストールされる仕組みだ。しばらく待つだけで、会社のポリシーに沿ったテレワーク環境が使えるようになる。

      「デルのPCをお使いいただく場合、この工程はもっとシンプルにできます。管理者様から必要な環境の情報やデータファイルを当社にお送りいただくことで、セットアップ済みのPCを、エンドユーザー様に直送することができる『Dell Provisioning』というサービスを提供しています」と酒谷氏は紹介する。エンドユーザーは、PCが届いたらすぐに業務を開始できるようになる(図2)。

    • 図2●従来のPC展開と「Dell Provisioning」を利用したPC展開

      セッティング済みのPCが、デルの工場からエンドユーザーに直送される。これによってキッティングなどに関わる管理者の手間も省くことができ、大規模なPC展開も容易になる

       

      また、Workspace ONEはユーザー側にもメリットをもたらす。社内システムおよび複数のSaaSへのシングルサインオンが可能になり、煩雑なパスワード管理から手離れできる。さらに、「統合ワークスペース」から全アプリケーションに対して同じ操作感でアクセスできるため、テレワークの作業効率を高めることができるという。

      これからの時代、テレワークは「当たり前の働き方」の1つとして業務現場に受け入れられていくだろう。そんな中、阻害要因になるセキュリティや管理者の手間、現場業務の非効率さを排除し、全社員にメリットをもたらすWorkspace ONEは、企業にとって必須の基盤になる可能性を秘めている。

    • 日経BP社の許可により、2020年6月9日~ 2020年9月7日掲載 の 日経 xTECH Active Special を再構成したものです。

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