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    HCIの増設計画はAIにお任せ? 無償提供のAIツールでリソースの枯渇を予測

    企業のITインフラとして普及が本格的に始まったHCI。そのメリットを最大限活かすには運用管理やリソース可視化の手間を最小限にする必要がある。そのキーワードは「AIOps」だ。すぐに使える4つの機能を紹介する。

    • 日々の運用管理作業に注力できる環境が必要

      HCIでインフラを構成する場合、一定数のノードを導入してクラスタを構築し、運用を開始するというスタイルが基本だ。より多くのリソースを必要とする大企業なら、当然、導入台数が増えていく。その運用に当たっては、個々のクラスタとそれを構成するハードウェアの状況把握が必要だ。

      現在、多くのHCIで採用されているVMware製品ベースの仮想化製品には「VMware vCenter Server」(以下、vCenter)という標準的な管理ツールが内包されている。

      vCenterは、運用管理に関する基本機能を提供する。CPUやメモリ、ストレージといったリソースの日々の利用量や稼働状況の把握、必要に応じたアップデートの適用といった業務を実施できる。

      一方で「なぜパフォーマンスが落ちているのか」「いつストレージが不足するのか」など定量的な情報に基づいた分析や将来予測も不可欠だ。システムの健全化やパフォーマンスの向上につながる業務をより効率的にできる環境を活用することで、HCIを導入する価値はより高まると言えるだろう。

    • VxRailでのみ使える無償の運用支援サービス「VxRail ACE」

      デル・テクノロジーズの石井真仁氏 取材はWeb会議システムを使い、リモートで実施した

      デル・テクノロジーズは、同社が提供しているHCI「Dell EMC VxRail」(以下、VxRail)シリーズの運用をサポートする新たなサービス「Dell EMC VxRail Analytical Consulting Engine」(以下、VxRail ACE)を提供している。このサービスはSaaS(Software as a Service)で提供されており、VxRailのユーザーなら無償で利用できる。

      デル・テクノロジーズの石井真仁氏(モダンデータセンター事業本部 シニア・システムエンジニア)は、VxRail ACEについて「ユーザーによるHCI運用の効率化を支援するという点が特徴で、AI(人工知能)技術を使用してIT運用を効率化する『AIOps』を視野に入れたサービスだ」と紹介する。

      VxRail ACEは、VxRailのハードウェア障害自動通報ツール「Secure Remote Service」(SRS)を使用してインベントリ情報やイベントログなどのテレメトリーデータをVMwareが買収したPivotal Softwareの製品で構築したクラウドのデータレイクに送信する。送信されたデータは同クラウドの機械学習によるAIツールで分析され、ユーザーに視覚的なレポートを提供する。VxRail ACEの利用に当たってユーザー側で必要になるのは、管理コンソールにあるSRSの設定項目で「カスタマー向上プログラム」への参加を許可することだけだ。

      VxRail ACEは現在、運用管理に役立つ以下の4つの機能を提供している。それぞれ見ていこう。

      • 各リソースの負荷を時系列で統合しグラフ化
      • イベントログに基づくヘルススコアの算出
      • ストレージ消費傾向の分析と予測
      • ライフサイクル管理の支援
    • 各リソースの負荷を時系列で統合しグラフ化する機能

      稼働している各VxRailクラスタのCPU、メモリ、ストレージ、ネットワークの平均負荷を時間軸でグラフ表示する。過去のデータに基づく分析から「異常な負荷が発生した」と判断された部分は自動的に強調表示される。運用担当者は強調された部分を中心に、システムに何が起こったのかを追跡すればいいというわけだ。

       

      (出典:デル・テクノロジーズ)
    • イベントログに基づくヘルススコアの算出機能

      仮想化基盤を構成する各コンポーネントに対して、イベントログを基にしたヘルススコアを提示する。スコアが減点されている場合、その原因になったイベントと同時に、有効な改善方法が示されたナレッジベースへのリンクも表示する。

      担当者にとってはこれだけでも十分参考になる情報だが、「将来的には問題のある部分をワンクリックで自動的に修正したり、自社の環境で正常なイベントをスコア算出時に無視する設定をしたりすることも可能になる予定」(石井氏)という。

       

      (出典:デル・テクノロジーズ)
    • ストレージ消費傾向の分析と予測機能

      VxRailクラスタ全体のストレージ容量と現在の使用率をグラフ化して表示する。過去の利用状況から今後の増加ペースを分析し「あと何日で最大容量を超えるか」を予測する。

      「ストレージの容量や利用状況はvCenterでも確認できるが、ログの分析から『消費傾向』まで提示できるのがVxRail ACEのユニークな点だ。HCIはストレージをはじめとするリソースを容易にスケールアウトできる点がメリットの一つだが、今後のストレージ需要について客観的な根拠がなければ社内的な手続きでつまずき、調達が間に合わなくなるといった悲劇も起こりかねない。この機能を利用することで、将来的なストレージ不足に対してデータに基づいた合理的な調達計画を立てられる。HCIを運用しているユーザーにとって最も便利な機能の一つだ」(石井氏)

       

      (出典:デル・テクノロジーズ)
    • ライフサイクル管理の支援機能

      HCIクラスタのアップデート作業を支援する機能だ。HCIの運用に当たっては、仮想化基盤の各モジュールに加え、各HCIが持つ独自の管理モジュールなども併せてアップデートする必要がある。VxRail ACEは、各クラスタに導入されているvCenterやVMware ESXiといったVMware製品のモジュールに加え、VxRail独自のモジュールも現在の「適用バージョン」と導入可能な「最新バージョン」を一元管理できる。

      加えて、VxRail ACEから各VxRailクラスタにアップデートバンドルを配布しておき、ユーザーの計画に合わせたアップデートをサポートする。将来的には、「アップデートの事前チェック」などもVxRail ACEで実行できるようにする計画だという。

      「VxRail ACEは続々と既存機能の強化や新機能の追加をする予定だ。将来的には、AIなどを活用した分析結果を基に、SaaSからVxRailにアクセスすることでより多くの運用業務の自動化を実現する可能性も秘めている」(石井氏)

       

      (出典:デル・テクノロジーズ)
    • 「VMware vRealize Operations」との緊密な統合

      VMwareは、仮想化基盤に対してより本格的な運用管理機能を必要とするユーザー向けに有償の管理ツール「VMware vRealize Operations」(以下、VMware vROps)を提供している。VMware vROpsの機能には、仮想化基盤全体の高度な統合監視やストレージ利用量の予測など、VxRail ACEと一部重なるものも含まれている。しかしその役割と位置付けは明確に異なっているという。

      デル・テクノロジーズの鈴木雅貴氏 取材はWeb会議システムを使い、リモートで実施した

      デル・テクノロジーズの鈴木雅貴氏(VMwareスペシャリスト リーダー)は「vCenterと直接連携する高度な運用監視やレポーティング機能などを必要とするユーザーには、より多くの機能を備えたVMware vROpsの導入を勧めたい。VMware vROpsはVxRail ACEと密に連携し、運用分析や障害予測などユーザーの用途やニーズに合わせた運用管理を可能にする製品だ」と話す。

      デル・テクノロジーズは、VMware vROpsユーザー向けに「VxRail Management Pack for vRealize Operations」という無償のソフトウェアを用意している。これを導入することで、VMware vROpsはVxRail独自の機能を認識して複数のツールが追加で利用できるようになるという。例えば、65項目に及ぶVxRailのイベントを認識して問題の解決に向けた提案をしたり、VxRail特有のロジックを加味したデータ分析をしたり、その結果をトラブルシューティングのための情報として示したりする機能が含まれている。

      その他、VMware vROpsで利用できる運用レポートのテンプレートも複数含まれている。ユーザーのみならず、VxRailを導入した顧客に運用管理、監視サービスを提供するパートナーにとっても、無償で利用できる「VxRail Management Pack for vRealize Operations」は高い付加価値を提供するだろう。

      「VMware vROpsは、IT運用管理の自動化製品として位置付けられている。VxRail ACEとも緊密なインテグレーションが図られている。組織の中でHCIの運用管理を高度化、効率化する際に相互補完的に利用することで、VxRailの価値をより高められる」(鈴木氏)

    • 運用管理の効率化でHCIが生み出す価値を高める時代に

      HCIが登場してからかなりの年月が経過した。HCIを導入した企業は初期導入や拡張の迅速さ、容易さといったメリットを十分に享受しているのではないだろうか。今後、HCI活用のステージは「さらなる効率化や自動化を通じて運用管理にかかるコストを最小化し、システムが生み出す価値を最大化する」段階へ入っていく。

      クラウドでのデータ分析を取り入れた独自のユニークな運用支援サービスとしてVxRail ACEを備え、VMwareの標準的な管理プラットフォームであるVMware vROpsとの統合も考慮されたVxRailは、HCIをより効率的に活用したいユーザーにとって選択肢の一つとなるのではないだろうか。

    • この記事は TechTarget Japan (https://techtarget.itmedia.co.jp)に2020年5月に掲載されたコンテンツを転載したものです。https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/2005/14/news02.html

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