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    革新的アニメーション、その制作を支える仕組みとは

    「妥協は死」と「残業・徹夜はしない」を両立 神風動画の作業環境の秘密

    • 徹底したこだわりと、独自性の高い表現でファンを魅了する神風動画

      2003年に設立されたアニメーションスタジオ、神風動画。2012年に公開されたTVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』のオープニングで存在感を発揮したほか、深夜アニメ『ポプテピピック』や長編アニメーション映画『ニンジャバットマン』など、数々の話題作を作り続けている。

      最近ではNHKみんなのうたで放送されたポルカドットスティングレイ『トゲめくスピカ』の映像を手掛け、「美しすぎる」とネットなどで話題になった。また、2019年にスタージル・シンプソンのニューアルバム『SOUND & FURY』のビジュアルアルバムに企画から携わり、オリジナルな世界観とストーリーへの注目も高まっている。講談社「ヤングマガジン」で連載されている『ギャルと恐竜』のアニメ制作を行うなど、その独自性の高いアニメーション表現は、数多くのファンを魅了し続けている。

    • 神風動画が制作している作品の例。上から、NHK みんなのうた『トゲめくスピカ』、スタージル・シンプソンのビジュアルアルバム『SOUND & FURY』、TVアニメ「ギャルと恐竜」。アニメーションという枠にとらわれない、独自性の高い表現が特徴的だ
    • 神風動画の社訓として掲げられているのは「妥協は死」。「作品を死ぬまで背負う覚悟があるか?」という映像表現への徹底したこだわりこそが、前述の様々な作品を生み出したといえるだろう。

      「私たちはアニメーションという表現方法だけではなく、あくまでも映像を作っているという意識で作品に取り組んでいます」と語るのは、神風動画の水野 貴信氏。『トゲめくスピカ』は水野氏が担当しているが、これらもそのスタンスで制作されたものだという。「ベースは3DCGを利用してセル画風のアニメーションを作る作業ですが、毎回必ず新しい手法を取り入れています。実際に何を取り入れるのかは、作品のテーマや案件によって異なりますが、常に自分たちで面白い手法を生み出していきたい、という想いで作品作りを進めているのです」。

    • 有限会社神風動画
      取締役/演出
      水野 貴信氏

      その一方で同社は、残業や徹夜をしない働き方を推奨する"ホワイト企業"として知られており、過酷な労働環境が多いといわれるアニメ業界では珍しい存在だ。しかし「妥協をせずに新しいことに挑戦すること」と「残業や徹夜をしない」を両立するには、効率的な作業環境が不可欠だ。神風動画はどのようにして、その環境を作り出しているのだろうか。

    • 神風動画の制作を支える作業環境、その3つの選定ポイントは

      神風動画の作業環境を支えているもの。その1つが、設立当初から使用しているWindowsワークステーションである。3年ごとに買い替えを行い、その度にユーザーの利用環境に最適なものを導入しているという。

      「3年ごとに買い替えているのは、3DCGで使用するレンダリングソフトがその間に進歩し、古いハードウエアのスペックでは十分なパフォーマンスが出なくなるからです」と説明するのは、神風動画の長畑 大海氏。古いマシンを使い続けるほうが一見するとコスト安に見えるが、作業効率を考えればむしろマイナスのほうが大きいのだという。

      主に使っているソフトは、Adobe社のPhotoshopやAfter Effects、NewTek社のLightWave 3Dなど。神風動画のスタッフは少数精鋭で、複数の作業を同時にこなせる人が多く、Windowsワークステーション上でも常に複数のソフトウエアが動いている。

      もちろんそのためには、高いパフォーマンスを安定的に発揮するワークステーションが必要になる。このニーズに長年にわたって応え続けているのが、Dell Precisionシリーズだ。

    • 有限会社神風動画
      制作/システム管理
      長畑 大海氏

      「神風動画では設立当初からデルを使い続けています」と水野氏は話す。かつて水野氏自身はMacユーザーだったが、2003年に神風動画に参加してからは、自宅用マシンもデルに切り替えたという。「会社で採用していたことや、当時は3DCGといえばWindowsだったということもあります。しかしそれ以上に重要な理由は、安心感の高さでした」(水野氏)。

      実は神風動画では、10年ほど前に一度だけ、他メーカーのWindowsワークステーションを購入したことがあったという。その理由は、当時一緒に仕事をしていた会社が、そのメーカーのワークステーションを使用していたからだ。しかしその後、再びデル製品に戻す結果になった。理由は大きく3点あったという。

    • 最も大切なのは安心感、もちろんスペックの柔軟性も重視

      第1は充実したProSupportのサポート体制だ。これにより、ワークステーションの故障で作業が停滞する時間を、最小限にとどめられているという。

      これに加え、問題の原因究明にも柔軟に対応する点も評価が高い。「現場で発生する不具合の多くはソフト的なものなのですが、デルはこのような問題にも柔軟に対応してくれます。チャットを通じて、ソフトのエラーについても気軽に質問できる仕組みがあります。また、製品ごとにサービスタグが付いており、これによって出荷時のスペックや保証期間、更新が必要なドライバーなどをすぐに確認できるため、対処も迅速に行えます。他社のサポートは内容が厳密に決められていることが多く、このような対応は期待できないケースが多いのが実情です」(水野氏)。

      この柔軟な対応を支えているのが、同社が宮崎に設置しているテクニカルサポートだ。在籍するテクニカルサポートスタッフは全員が正社員。そのため自社製品を深く理解している上、高度な技術に精通したエキスパートも多く、質問にも的確に対応できるわけだ。

      第2は耐久性の高さである。神風動画でも、たまに5年程度使われるワークステーションがあるが、それでも故障は発生していないという。故障は制作業務の遅れなどに大きな影響を与えるため、ハードが原因で障害が発生するといった不安を抱える必要がないのは、重要なポイントなのである。

      そして第3が、マシンの構成を柔軟に選択できる点だ。神風動画では、様々なスタッフが多様な業務を行う。予算の関係もあるため、すべてに高スペックなマシンを利用するのは現実的ではない。そこで同社では、業務の適正を見極めた上で、スペックを決めている。

      例えば、2019年には、最新モデルとなるDell Precision 3630 TowerとDell Precision 5820 Towerを導入しているが、利用業務を想定してその中身を変えている。各スタッフが使う大多数のDell Precision 3630 TowerにはGPUとして NVIDIA® QUADRO® P2000を採用。その一方で、重たい画像処理を同時に行う必要のある一部のマシンには NVIDIA® QUADRO® P4000を入れている。また、主にレンダリングに使用するDell Precision 5820 Towerには、 NVIDIA® QUADRO® P4000 と NVIDIA® QUADRO® P5000 を使用する。このように適材適所で組み合わせているわけだ。

    • 神風動画が2019年に導入した、Dell Precision 3630 TowerとDell Precision 5820 Tower。3630はスタッフが日常的に使うワークステーションとして利用され、5820は主にレンダリング用となっている

       

      「導入するマシンのスペックは、デルの担当者と相談しながら決めています。予算の制約はもちろんありますが、その範囲内で先々のことを考えながら、最適なものを選択できていると思います。パフォーマンスが落ちてきたら、ワークステーション本体はそのまま使用しつつ、グラフィックボードだけ差し替えるといったことも可能です」(長畑氏)。

    • 最新モデルの導入でさらに「サクサク動く」環境へ

      2020年2月時点で、合計で約100台のワークステーションのうち50台がDell Precision 3630 Tower、3台がDell Precision 5820 Towerという構成になっている。今後も作業途中の案件が終了するタイミングで、随時最新モデルへと切り替えていく計画だ。これによって処理スピードを格段に高められるからだ。

      「レンダリングの効率化ももちろん重要ですが、それ以上に大切なのがPhotoshopやAfter Effectsなどを使用した日常的作業のストレス軽減です」と長畑氏。神風動画では、少数精鋭で複数の作業をこなしていることが作業効率化につながっているが、その能力を最大限に引き出すには、機器がクリエイティブな思考を妨げないことが欠かせないという。「実際にスタッフからも『ソフトをいくつ立ち上げてもサクサク動く』と喜ばれています」。

       

      Dell Precision 3630で複数のソフトを立ち上げている様子。その処理速度の高さはスタッフからも「ソフトをいくつ立ち上げてもサクサク動く」と好評だという
    • 「これまでは短編作品を中心に、様々な手法を取り入れながら楽しく映像制作に取り組んできましたが、今後は長編作品の制作をコンスタントに複数走らせられる体制を作っていきたいと考えています」と水野氏。そのために多様なスタッフも増やしつつある。同社では、今後もデルのワークステーションをハードウエアプラットフォームにしながら、視聴者に驚きを与えるコンテンツを作り続けていく考えだ。

       

    • 日経BP社の許可により、2020年3月30日~ 2020年7月5日掲載 の 日経 xTECH Active Special を再構成したものです。

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