• 装飾

    米国国防省が認めた堅牢PCが製造・建設・物流など、現場の働き方を変える訳

    • 工場や建築現場、冷凍倉庫など、厳しい環境で使えるノートPCとは

      総務省によると日本の生産年齢人口は、2015年から2030年までの間に754万人減少するという(総務省:平成29年版 情報通信白書より)。労働力不足はあらゆる産業に共通する深刻な課題だが、中でも大きな影響を受けているのが「フィールド業務」である。

      フィールド業務とは、工事前の測量調査やメーターの検針、工場・プラントや建設現場、配送・設置、定期メンテナンスや修理など、現場に赴いて作業を行う業務のこと。既に労働力不足で人材の確保が困難になりつつある上、今後は熟練者の高齢化により、技術継承も難しくなっていくだろう。

      そうした状況に備えるには、現場のデジタル化を図り、生産性を上げていくしかない。だが、それも一筋縄ではいかない。フィールド業務は総じて過酷な環境であることが多く、通常のPCやタブレット、スマートフォンでは簡単に壊れてしまうからだ。振動や埃でハードディスクや液晶が故障することはその一例だ。配送業務であれば、炎天下の日にトラックの中に数時間放置されたり、工事現場なら突然のゲリラ豪雨にさらされたりすることもあるだろう。

      こうした中で、「堅牢ノートPC」というジャンルが多くの企業から注目を集めている。これは、凍っても、濡れても、落ちても壊れない、非常に優れた耐久性を持つPCを指す。堅牢PCは以前から、軍事用や救助現場、海上や山岳地域など、特殊な用途で使われてきた。しかしここ数年は、コストパフォーマンスや操作性の向上もあって、建築現場や工場、冷凍倉庫をはじめ一般企業や組織においても、生産性を向上させるツールとして注目を集めている。実際、ワールドワイドでも出荷台数は右肩上がりで増えているという。

      堅牢PCによってフィールド業務はどう改善され、どのような働き方が可能になるのか。次ページ以降では、実際に生産性を上げた事例や、堅牢PCの最新トレンドについて紹介したい。

    • 堅牢PCによってフィールド業務はどう変わるのか

      フィールド業務の生産性を大きく向上させる堅牢PC。その有力なメーカーの1つがデルだ。デルは10年以上前から「Latitude Rugged」と呼ばれる、過酷な現場で利用できる堅牢ノートPCを提供してきた。そのことは意外に知られていない。

      “Rugged”とは“頑丈に作られた”という意味で、Ruggedシリーズは特に過酷な環境での利用を想定して設計されたノートPC、タブレットとなる。

      同シリーズの現在のラインアップは2種類。軍用規格の要件を満たす“フルRugged”モデル「Latitude Rugged 7000」シリーズ、およびエントリーモデルである“セミRugged”製品「Latitude Rugged 5000」シリーズが提供されている。

       

    • なぜ過酷な現場でも利用できるのか。それはRuggedシリーズが様々な規格に適合できる技術を実装しているからだ。

      デル株式会社
      クライアント・ソリューションズ統括本部
      ビジネスディベロップメントマネージャー
      小野 俊二氏

      具体的には、振動や埃、温度・湿度、衝撃などにかかわる米国の防衛装備品調達規格である「MIL-STD-810」に準拠。防水・防塵についても、粉塵が内部に侵入せず、いかなる方向からの水の直接噴流にも耐える「IP-65」(7000シリーズ)ないしは「IP-52」(5000シリーズ)の規格に適合。「ANSI/ISA」の防爆規格にも準拠している。さらに、モーターオイル、ガソリン、ペイント、シンナーなど化学薬品への耐性にも優れており、過酷な環境下で使えるPCであることが証明されている。

      「筐体自体も、7000シリーズノートPCでは1.8m、タブレットは1.22mの高さからの落下試験を行っており、テストをクリアした高い強度の製品を供給しています」と語るのは、デルの小野 俊二氏だ。

      Ruggedシリーズでは、製品の開発プロセス全体を通して、こうした大量のテストが行われている。そのためにデルは米国テキサス州オースティンに、10以上の最先端テスト施設を用意。標準規格を超える過酷な条件下に製品をさらし、限界点に達するまでテストを続けるという。

    • 過酷な環境での品質テスト

       

      「検査への合格だけを目的とするのではなく、開発中に抽出された問題点を洗い出し、事前に対策を講じたり、現実の使用環境でも機能し続ける堅牢性を確かめるのが狙いです。企画開発からテスト、販売まで一貫して自社内で行っているデルは、唯一の堅牢PC Tier1カンパニーだと自負しています」と小野氏は話す。

      Ruggedシリーズはただ堅牢というだけではない。ユーザー環境を想定した操作性でも様々な工夫を凝らしている。水滴が付いた環境でグローブを着けたままでタッチ操作が可能な点はその1つ。通常、PCやタブレットなどのデバイスでは、タッチパネルが雨や海水などの水に濡れた状態だったり、グローブを装着したままでは、作業者が思い通りにデバイスを操作することができない。しかしRuggedシリーズでは、そうした環境下でも中断することなくスムーズに作業を継続できる。

    • ハイエンドな堅牢性を持つタブレットの新モデルを投入

      さらに最新機種では、こうした機能をさらに進化させている。新モデルとして投入された「Latitude 7220 Rugged Extreme Tablet」は、7000シリーズとしてのハイエンドな堅牢性を持つ11.6インチのタブレットだ。

      新たにインテルの第8世代Coreプロセッサ“Whiskey Lake”が搭載され、パフォーマンスが従来モデルより一段と強化された。ユーザーが、よりシステムを素早く立ち上げられるよう、Windows Helloによる顔認証対応のIRカメラを搭載したほか、指紋認証でも新世代のリーダーを実装している。

      デル株式会社
      クライアント・ソリューションズ統括本部
      クライアント製品本部
      フィールドマーケティングアドバイザー
      佐々木 彩氏

      「建設現場や測量などでRugged Tabletを使われるお客様は、両手が自由に使えるようにストラップなどで首から下げ、顔認証でシステムを立ち上げるケースが多いため、この機能は非常に喜ばれます。CPUとカメラ機能の強化で、今まで以上にストレスなくログインできるようになりました」とデルの佐々木 彩氏は説明する。

      フロントスクリーンも進化し、一段と明るい1000NITのスクリーンが採用されている。

      もともと屋外で使うことが多いRuggedシリーズでは、スクリーンの明るさが非常に重要なポイントとなる。一般にPCやタブレットを屋外の太陽光の下などで利用する際には、どうしても画面が見えにくくなる。このため、外光を反射させないよう、その都度スクリーン角度を調整するといった対応が、作業者にとっては大きな負担となる。

    • これに対しRuggedシリーズでは、高輝度のバックライトとアンチ反射光フィルタ処理を施した液晶スクリーンを採用。表面の光の反射層を減らすため、タッチパネルを光学的に液晶画面に接着させるなどの細かな工夫も施し、明るい太陽光の下での作業でも、角度調整などのストレスなく作業が行えるようにしている。今回のスクリーン強化で、Rugged Tabletの視認性が一段と向上した。

      Latitude 7220 Rugged Extreme Tablet(左)と前機種(右)の輝度の違い

       

      バッテリーを2つ搭載することで、従来モデルも約12時間の長時間駆動を可能としていたが、新モデルでは最大19時間の連続稼働が可能となった。稼働させたまま1つずつ交換できるデュアルホットスワップにも対応しており、電源確保が難しいフィールドユーザーには丸一日の連続稼働は何よりも頼もしい機能だ。

      デュアルホットスワップで、バッテリーも簡単に入れ替えることが可能

       

      「バッテリー単体での充電は専用チャージャーで行いますが、専用のドッキングステーションを使えば、タブレットを稼働させながら最大4つのバッテリーを同時に充電することも可能です」と、佐々木氏は付け加える。

      ドッキングステーションに装着したタブレット

       

      Rugged Tabletの生産性を高め、様々なビジネスシーンに合わせた包括的ソリューションを提供するためのエコシステム(周辺機器)も充実している。先に紹介したバッテリーチャージャーやドッキングステーションのほか、ハンドル、片手用や肩掛け用のストラップなどのキャリングアクセサリー、外付けキーボード、バーコードリーダーなども用意されている。これらの周辺機器は、従来モデルで使っていたものを7220 Rugged Extreme Tabletでそのまま利用できるという。つまり世代を超えて使えるエコシステムとなっているわけだ。

      7220 Rugged Extreme Tabletの登場に合わせ、新しく加わるのが「アクティブペン」だ。以前から用意されていたパッシブペンは、画面クリックやシンプルな描画向けだったが、アクティブペンは筆圧感知が1024階調にアップしたことで、表現力のあるスケッチを作成したり、手書きメモやサインなどが容易に入力できるようになる。

      アクティブペン(左)、ハンドル(右上)、片手用のキャリングアクセサリー(右下)

       

      「例えばCAD画面などに手を入れる際、より細かい線を描けるようになったり、逆に注釈を太い線で付けたりすることなども筆圧で自由自在に行えます。外回りの検針業務などで、お客様にタブレットへサインを頂く際も、非常に書きやすくなると思います」(小野氏)

    • Latitudeシリーズとしての信頼性や手厚いサポートも魅力

      Ruggedを選ぶ理由として、最もユーザーに安心感とメリットを与えるのが、デル Latitudeシリーズであることの信頼性だ。

      「Ruggedは世界最高レベルの堅牢性を誇るだけでなく、ほかのLatitudeシリーズと同様の品質、管理性、セキュリティ、サービスなどがグローバルに提供されます」(小野氏)

      タフに使えるRuggedとなれば、国内だけでなく海外出張にもそのまま持ち出して、現場で活用するシーンが多くなる。滞在時に万一トラブルが発生しても、グローバルサポートが受けられる恩恵はありがたい。

      また、システム管理ツール「Dell Client Command Suite」も使えるため、オフィス内のPCと同様、最新のドライバやファームウエア、セキュリティパッチの一斉配信、WSUS(Windows Server Update Services)による更新プログラムの集中管理も可能だ。

      「CPUやメモリ、ストレージなどの構成も業務に応じて柔軟に選んでいただけます。さらに通常のLatitudeシリーズのライフサイクルは12~15カ月が基本となっていますが、Ruggedに関しては36カ月、3年間という長期のライフサイクルで提供しています。長く安定してお使いいただけるのもRuggedならではのメリットです」(佐々木氏)

      Ruggedシリーズを活用し、現場の課題解決や生産性向上に役立てている企業も多い。

      例えば、ある建築会社は土木施工における測量の効率化・省力化を目的に、これまで様々なタブレットを導入してきた。だが、過酷な現場に耐えうる信頼性や処理性能、バッテリー駆動時間などに大きな課題があったという。しかし、Rugged Tabletの導入によってこれらの課題を一掃。利用後に本体を丸洗いできる運用性や利便性も含め、大幅な生産性向上を実現できたという。

      また、冷凍倉庫会社では、マイナス25度という倉庫内温度に余裕で対応し、内部防水仕様で結露環境でも動作するRugged Tabletの導入で、倉庫内のIoTプロジェクトを推進。働き方改革にも貢献する作業効率向上とペーパーレス化を実現している。

      さらに生産設備からの粉塵や振動の多い製造業のラインでは、過酷な環境に耐えうるPC導入が難しかったが、汚れた指先や手袋のままでもタッチパネル操作が可能なRugged Tabletを導入したことで、生産管理の効率性を飛躍的に高めることに成功している。

      近年は、SIerが自社のソリューションと一緒にRugged Tabletを提案するケースや、顧客先に納める自社製品にOEMとしてRugged Tabletを組み込むケースも増えているという。

      堅牢PC市場の裾野がここまで広がっているのは、性能や耐久性だけでなく、TCOに優れている点も大きい。デルの調査では、Ruggedは平均年間故障率がNon Ruggedの3分の1という低い故障率となっており、5年間でTCOは約半分になる。この差は大きい。

      フィールド業務であっても最新技術や高スペックのPCを活用したいというニーズはますます高まっている。Ruggedシリーズの活用は、生産性やTCO削減、働き方改革という観点でも有力な選択肢となるだろう。

    • 日経BP社の許可により、2019年12月18日~ 2020年3月17日掲載 の 日経 xTECH Active Special を再構成したものです。