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    今求められるデータ保護の在り方とは、専門家が過去・現在・未来を見据えて解説

    データの増大やデータ保護におけるクラウド活用、データ管理の効率化といった課題が企業を悩ませる。専門家が、過去から現在、未来を通じてデータ保護のニーズを俯瞰し、これからのデータ保護の在り方を明らかにした。

    • データはビジネスの燃料、いかに守り活用するか

      EMCジャパン 西頼大樹氏

      2019年10月23日、グランドプリンスホテル新高輪(東京・品川)でDell Technologies主催のイベント「Dell Technologies Forum 2019」が開催された。

      「グローバルリーダーのDell Technologiesが解説するデータ保護の『今』と『将来』」と題するセッションに登壇したEMCジャパンの西頼大樹氏(EMCジャパン DPS事業本部 事業推進担当部長)は、「テクノロジーの進歩に伴ってデータ保護のニーズが変遷している」とセッションのテーマを投げ掛けた。

      Dell EMCは業界を代表するベンダーとしてデータ保護に向き合い、イノベーションを続けてきた歴史がある。十分に成熟し定着している技術、市場に選ばれつつある技術、未来のための新技術を網羅し、幅広いポートフォリオでユーザーのビジネスを支えてきた。

    • 過去、現在、未来においてデータ保護ソリューションに求められるもの

       

      具体的に、過去から現在、未来に至るまでデータ保護のあるべき姿はどう変化し、それを満たせる技術や製品とはどのようなものなのか――。データ保護の最前線で市場を見つめてきた西頼氏が、「Dell EMC Data Protection Suite」と「Dell EMC Data Domain」(以下、Data Domain)改め「Dell EMC PowerProtect DD」(以下、PowerProtect DD)、「Dell EMC Integrated Data Protection Appliance」(以下、IDPA)、「Dell EMC PowerProtect」(以下、PowerProtect)といったブランドを軸に解説した。

    • シンプルなアーキテクチャでデータ量の増大と戦う「PowerProtect DD」

      過去から現在に至るまでのデータ保護の課題は「量との戦い」だったと西頼氏は表現する。データ保護の市場において長年重視されてきたのが、増え続けるデータを適切に保管するためのアーカイブやバックアップ&リカバリー、災害復旧の技術だ。また、VMwareの製品に代表される仮想化技術へのシフトに呼応し、仮想環境を保護する技術も生まれ、成熟しつつある。

      このニーズを満たしてきたのがData Domainだ。特に「増え続けるデータ」という課題に対しては、2005年に旧Data Domain社(2009年にEMCが買収)がEfficient Data Storage Systemと呼ばれる特許を取得し、イノベーティブな重複排除技術を世に送り出した。これは、企業ストレージを変えた四大特許の一つと評価されている。その後、Data Domain製品は、約700万件の特許技術を組み合わせて、業界でも類いまれな可変長重複排除を実現した。これにより、データの保存に必要なストレージ容量を大幅に削減し、膨大なデータの効率的な移動、管理を可能にした。

      最新のData Domain製品は「Dell EMC PowerEdge」プラットフォームを活用し、PowerProtect DDというブランドに統合されている。Data Protection Suiteという同社のバックアップソフトウェアと組み合わせれば、オンプレミスとクラウド双方のデータをより効率的に保護できる環境が整う。

      「Data Protection SuiteとData Domainが常に目指しているのは、データ保護のための最適なアーキテクチャを実現する礎を作ることです。データ量を減らし、データを動かすことで生じるボトルネックを減らすことで、運用管理の負荷低減や、従来と比べてシンプルなアーキテクチャモデルの採用を可能にします。また、今までもHadoopや各種NoSQLデータベース、それを支えるLinuxディストリビューションといった新たな技術に対応することで、将来に向けてより広範な最新テクノロジーに積極的に対応できる柔軟性を確保してきました」(西頼氏)

       

      PowerProtect DDシリーズにおける進化

       

      例えば秋田県湯沢市は、自治体プライベートクラウド基盤のバックアップ環境整備とセキュリティ強化のために、Data Protection SuiteとData Domainを採用した。強力な重複排除機能を力に、増え続けるデータのバックアップが「終わらない」「戻せない」という課題を解消しただけでなく、Data Domainの各種セキュリティ機能を活用してランサムウェアといったサイバー攻撃への事前対策も講じられたと評価している。そしてその最大の効果は運用開始後に現れた。従来背負っていた運用負担を大幅に軽減できたことで生まれた再配置可能なリソースを、他の業務に活用できるようになったのだ。まさにデジタル変革に不可欠といわれるリソースの再配置を、データ保護から生み出したと言える。

    • 効率性を追求する「IDPA」、クラウドを最大限に活用できる「Cloud Data Protection」

      一方、現在から近い将来に向けて、データ保護には効率性が求められると西頼氏は強調し、クラウドサービスの積極的な活用がポイントの一つになると述べた。この領域で威力を発揮するのがクラウドを活用するデータ保護機能を集約した「Dell EMC Cloud Data Protection」(以下、Cloud Data Protection)だ。

      Dell EMCが世界18カ国、11業種にわたる従業員250人以上の公的機関および一般企業のIT意思決定者2200人を対象にしたアンケート調査では、約40%の日本企業および組織がパブリッククラウドを活用しており、そのうちの98%がクラウドをバックアップやアーカイブといった“データ保護”のために利用していることが明らかになった。特にモバイルデバイスのバックアップや特定SaaSの保護、ディザスタリカバリー、アーカイブ、長期保管といったニーズが主流だ。

      Cloud Data Protectionは、こうした希求に応えるデータ保護ソリューションとして近年注目を集めている。具体的には、アーカイブや長期保管が必要なデータをクラウドストレージに移行する「クラウド階層化」、クラウドへの遠隔保管を実現する「クラウド対応仮想アプライアンス」、災害時にクラウドで一時的にデータを復旧する「クラウドディザスタリカバリー」という3つの要素を可能にする。多くのパブリッククラウドに対応しているのもポイントだ。前述調査で最も多いニーズとして挙がったモバイルデバイスのバックアップについては、オプテージが「Dell EMC Avamar」とData Domainのクラウド対応仮想アプライアンスをベースに、パブリッククラウドを活用したデータ保護サービスを構築した例も紹介された。

      効率化の文脈では、インフラのシンプルさや運用管理性もキーワードとして挙がった。「ここ数年で、企業がデータ保護ソリューションに求めるニーズが変わってきているという実感があります。以前は、“バックアップは保険”という認識があったためか、なるべくコストを抑えたいという要求がひときわ大きかった。しかし最近の調査では、バックアップ環境のシンプルさや運用管理性を求める声が『コスト低減』と同等規模の要求として上がっています」(西頼氏)

      この新しいトレンドに対するDell EMCの答えがIDPAで、「コンバージド化によるシンプルさを追求しながら、今バックアップに必要なものを全て内包している」と西頼氏は述べる。

       「IDPAは2U・8TBから開始でき、最大で1ラック・1PBまで増強できます。特に重要な点は、今のITインフラにおけるあらゆるワークロードを1つのシステムで保護できるという点です。同時に、クラウドへの長期保管と災害復旧の機能もビルトインされていて、クラウドストレージを活用すれば最大で2PB(重複排除後データ)まで容量を拡張することも可能になります」(西頼氏)

       

      バックアップ環境の運用性とシンプルさを追求したIDPAの特徴
    • 未来に向けたデータ保護技術「PowerProtect」

      これからの未来に向けて、データ保護ソリューションに求められるものとは何か。西頼氏は、デジタル変革をトリガーとした新しいビジネスや環境に素早く対応すること、さらにサイバー攻撃の脅威を排することだと強調する。これに応える形でDell EMCが2019年7月から提供を始めた製品がPowerProtectシリーズだ。ソフトウェア製品「PowerProtect Software」とコンバージド型アプライアンス製品「Dell EMC PowerProtect X400」(以下、PowerProtect X400)の2つから成る。

      上記したように、Data Domainは強力なコンピューティングリソースを持つPowerEdgeプラットフォームを獲得し、PowerProtect DDブランドに統一された。この過程で生み出した再配置可能な開発リソースを駆使し、ITが進む未来を見据えて開発した新しいプラットフォームがPowerProtectだ。

      まず、西頼氏はアプリケーションとデータという企業にとって重要なITが進む方向性を6つのRで表した上で、いまだ十分なデータ保護ソリューションが提供されていないと考えられている3つのRを示した。1つ目はコンテナ技術などを活用し、アプリケーションのマルチプラットフォーム化を可能とする「Replatform(ポータブル化)」。2つ目はPaaSなどアプリケーションを書き換え、新しいプラットフォームに最適化させる「Rewrite(アプリ再構築)」。そして3つ目がSaaSを利用して資産を持たない「Repurchase(サービス購入)」だ。

      PowerProtect Softwareは、この3つのレイヤーにおけるデータを保護し、管理することを目的に一から開発されたソフトウェアプラットフォームだ。ソフトウェア定義型に由来したさまざまな強みを持つ。多くのアプリケーションと連携し、ユーザー自身が各アプリケーションの管理画面でバックアップを制御できるセルフサービス機能もその一つだ。長期アーカイブが必要なデータをクラウドに保管する機能も備えた。SaaS型で提供される管理コンソールは、IT部門によるインフラ全体の一括管理とガバナンスをサポートする機能が豊富だ。データ保護も、レプリケーションも、データの再利用も、サイバー攻撃からの復旧も、ビルトインされた重複排除技術で効率良く実現する。その他、今後新しい技術に対応したデータ保護機能を素早く追加することを念頭に、マイクロサービスの設計思想を採用しているという。

       

      PowerProtect Softwareの強み

       

      こうした取り組みは、ストレージ以外の最新技術との連携が欠かせない。そこでDell EMCが最初に手を組んだ最大のパートナーがVMwareだ。両社は2019年8月に開催された「VMworld 2019」にて、今後のVMwareソリューションにおけるデータ保護・災害復旧ソリューションの共同開発体制の強化を発表している。同イベントで公開されたKubernetes環境のデータ保護ソリューションのβ版もその一環だ。

      そしてPowerProtect Softwareとそれに最適なハードウェア環境がセットアップされたコンバージド型アプライアンス製品PowerProtect X400は柔軟な多次元スケーラビリティが特徴で、筐体ごとに容量を64T~96TBまでスケールアップできるとともに、筐体を追加するスケールアウトによってさらに容量や処理性能を向上させられる。ストレージは、全てをSSDで構成する「オールフラッシュモデル」と、従来のようにHDDとSSDを混在させた「ハイブリッドモデル」の2つから選ぶことが可能だ。データ保護アプライアンスでオールフラッシュモデルが用意されているのは珍しい。

      これらDell EMCのポートフォリオが提供する価値について、西頼氏は次のようにまとめる。

      「Dell EMCのデータ保護ソリューションは、2S+ABCDの価値を提供したいと考えています。まず、シンプルなアーキテクチャ(Simple Architecture)を単一のプラットフォーム(Single Platform)で実現するというのがコアバリューです。さらにそのコアバリュー上で、データ復旧(Recovery)における4つの場面――アプリケーション指向のデータ復旧(Application Centric Recovery)、バックアップ&リカバリー(Backup & Recovery)、サイバー被害からのデータ復旧(Cyber Recovery)、災害復旧(Disaster Recovery)――に必要な機能を提供し、企業の重要な資産であるデータを守るソリューションを提供する。これがDell EMCのデータ保護におけるコアコンピタンスになります」(西頼氏)

      今も昔もバックアップに変わらず求められる要求を高いレベルで満たしつつ、未来を見据えてバックアップ運用の効率性や進化し続ける技術への素早い対応といった新しいニーズに応え続けるDell EMC。今後も、企業のデータ保護や活用に寄り添い、サポートする存在であり続ける。

    • この記事は TechTarget Japan (http://techtarget.itmedia.co.jp)に2019年12月に掲載されたコンテンツを転載したものです。https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1911/29/news07.html