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    山積する働き方改革の課題を解決するための処方箋とは

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    • ユーザーの期待と経営のプレッシャーでIT部門は板挟みに

      ──働き方改革に取り組む企業が増える一方、必ずしも成功する企業ばかりと限りません。日本能率協会の調べによると、働き方改革の成果を実感していないビジネスパーソンはおよそ7割に上ります。この原因をどう見ていますか。

       

      松井    働き方改革は全社的な取り組みとなるため、経営陣からのトップダウンで進められることが多くあります。しかし、ビジネスとITが密接につながっている今、実質的な推進役はIT部門が担っています。

      業務部門のユーザーは「これで社外でもオフィスにいるときと同じように仕事ができる」と働き方改革という言葉に大きな期待を抱きますが、人も予算も限られた中では、この期待にすぐに応えることは難しい。

      例えば、オフィスの外でも仕事ができるように会社からノートPCを支給しても、社外の持ち出しには申請が必要という企業も少なくありません。仮に使えたとしても、VPN接続などセキュリティポリシーに準じた手順が求められ、アクセスできるアプリケーションも限定的。ルールや基盤の整備が追いついていないのです。

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      金野    社内ルールやIT基盤だけを整備しても、それをIT部門の論理で展開すると「残念な働き方改革」につながりやすい。今のユーザーはスマートフォンの利用に慣れているので、PCの利用環境にもスマートフォンと同等のユーザービリティを求めます。それなのに「PCのセットアップやデータ移行に時間がかかる」「使いたいアプリがすぐ使えない」といったような従来の煩雑なやり方では、現場はうんざりしてしまいます。

      松井    現場に我慢を強いる煩雑な運用。これが働き方改革の成果を実感できない一番の理由でしょう。ユーザーは制約が多くてやりたいことができない。IT部門も管理の負担が増して疲弊する。企業の変革、DXなどの取り組みに時間を使うべきIT部門が、その時間をつくることができない。ユーザーもIT部門もお互いに不幸になってしまうわけです。

    • 金野 OSの問題も大きいですね。Windows 7は2020年1月14日にサポート終了を迎えます。Windows 10への入れ替えを機に働き方改革を進めようという企業もありますが、Windows 10になると定期的なOSの大型アップデートが必要になります。ユーザーの利便性を損なわずいかにしてアップデートするのか、通信のボトルネックをどう回避するのか、更新プログラム配信基盤をどう見直すべきか。これに頭を悩ませている企業も少なくありません。

      ──どうしてこのような状況が生まれてしまったのでしょうか。

      松井 新しい仕組みやシステムを入れても、それが“点”のままで“線”あるいは“面”になっていないことが大きな要因ではないでしょうか。後追いの対応でいろいろなものが乱立し、それがさらに管理の煩雑化を招いています。

      大村 各プラットフォーム ベンダーは、独自のOSやプロビジョニング/アップデートの方法、アプリストア、クラウドサービスなどを提供しています。それに伴い、IT部門もこれまでも特定のニーズに対し、その都度、ITインフラを準備・提供してきました。結果として、デバイスやアプリケーション管理のサイロ化が進み、コストの増加、ユーザーのデジタル体験のレベルの低下、セキュリティ上の脆弱性などの様々な課題が発生しているかと思います。さらに、「働き方改革」のように業務横断的な利用者視点が強く求められるようになった結果、サイロ化が1つの阻害要因であると認識されるようになったのです。

    • 「新しい管理手法」が働き方改革の起爆剤になる

      ──働き方改革の課題解消に向け、IT部門としてどんなアプローチが求められているのでしょうか。

       

      大村  この解決策としてVMware では、あらゆるデバイスから業務に必要なあらゆるアプリケーションへのセキュアなアクセスを実現する環境「デジタルワークスペース」の重要性を訴えています。そして、デジタルワークスペースを実現する主要な構成要素の1つがPCの「モダンマネジメント」です。モダンマネジメントとは、言葉通り「新しい管理手法」を意味します。その目的は、デバイス、OSの種類ごとに別々であった運用管理を1つのクラウドベースのプラットフォームで実現することです。インターネットを含むあらゆるネットワークに接続されたデバイスに対し、リアルタイムでの構成情報の収集およびパッチやアプリを配信し、SaaSアプリ、モバイルアプリ、Win32アプリへのSSO(シングルサインオン)やデバイスの健全性やポリシーチェックを提供します。また、デジタルワークスペース全体(ユーザー、デバイス、アプリケーション情報など)を可視化するとともに、問題の修正など、何かしらの対応などが必要な場合は、そのプロセス フローの自動化を実現します。

      ──モダンマネジメントを支える具体的なソリューションにはどのようなものがあるのでしょうか。

    • 大村 「VMware Workspace ONE」(以下、Workspace ONE)です。デジタルワークスペースを実現するインテリジェントベースのプラットフォームです(図1)。

    • 従業員と組織との一体感、組織全体の生産性向上の実現には優れた Employee Experience(従業員のデジタル体験)が必要です。近年は、日本市場でも「体験」「エクスペリエンス」が重要なキーワードとして認知されてきました。VMwareはVMware Workspace ONE Intelligent Hubを通して、従業員の入社初日から退職に至るライフサイクル全体でのデジタル体験の向上に貢献しようと考えています。例えば、社内で欲しい情報がなかなか見つからず、無駄な時間が増えてしまうことで生産性へ悪影響を及ぼすことがあるかと思います。そこで、AI(人工知能)を活用した「仮想アシスタント」によって、業務に必要な情報へのアクセスを効率化させたり、人事および IT サービス管理などのアプリケーションと統合することで、業務プロセス全体を簡素化することで、新たな体験価値を提供しています。

      また、Intelligent Hubの提供するアプリケーションカタログでは、仮想化された既存の業務システム、WebやSaaSアプリケーションなどへSSOでのアクセスが可能です。ユーザーはこれらアプリケーションの“所在”の違いを意識することなく、統合的に利用できるわけです。制約が少なく、同一の手順であらゆるアプリケーションやサービスを利用できるので、ユーザーエクスペリエンスが大幅に向上します。

      ──コンシューマーITの使い勝手を企業のPCをはじめとした端末に持ち込めるわけですね。一方の管理者側のメリットはいかがでしょうか。

      大村 運用を例に挙げてみましょう。VMware Workspace ONE UEM(統合エンドポイント管理)は管理デバイスのOS、アプリケーション、パッチなどのデバイス情報を把握しています。これはWindowsだけでなくiOSやAndroidデバイスも含みます。管理者はWorkspace ONEの管理コンソールにアクセスするだけで社員が利用するすべてデバイスの状況を一元的に管理可能となります。

      次に、Windowsにフォーカスした運用のユースケースを考えてみます。「セキュリティ担当者から、特定の更新プログラムがインストールされていないデバイスのリストの提示を求められた」というのはよく耳にする話です。これに対し、VMware Workspace ONE Intelligenceであれば、ダッシュボード上で対象デバイスの情報や数を可視化することができます。また、対象デバイスに対しての対応プロセスの定義とその自動化を実現できます。例えば、対象デバイスを特定。そしてそのデバイスの利用者に対して必要なアップデートが存在することをSlackなどのサードパーティ製のアプリケーションを通して通知できます。利用者は自分でアップデート操作を実施し、管理者はその状況をダッシュボードを通してリアルタイムで監視することが可能です。

      多くのIT部門ではこのような対応に膨大な時間を、時には緊急性を伴うプレッシャーを受けながら対応されているのではないでしょうか。その負担が軽減されるメリットは大きいと思っています。

    • デルの強みを生かし、工場出荷時にキッティングを完了

      ──ユーザーもIT部門もメリットを享受できれば、働き方改革が全社に浸透していきますね。

      金野 しかしデジタル上の管理をいくら徹底しても、IT部門には物理的に手を動かす作業とそれに伴うコストが残ります。その最たるものが、従業員にPCを支給するためのキッティングや展開作業。これがPCのライフサイクル管理をする上で、IT部門の大きな負担となっています。

      Dell Technologiesグループの一員であるデルは、顧客満足度No.1(※)のPCベンダー。法人向けPCを数多く提供しているだけでなく、PC向けの様々なサービスも提供していることから、お客様の運用上の課題も十分理解しています。キッティングに関しては、従来のマスターイメージを作ってクローニングを行うような煩雑な手法ではなく、工場キッティングとWorkspace ONEのクラウドベースのAuto Enrollmentを組み合わせてPCを展開する「Dell Provisioning for VMware Workspace ONE」(以下、Dell Provisioning)という独自サービスを提供しています(図2)。

    • 具体的には、Workspace ONEのエージェントとお客様が利用する共通的なアプリケーションをプロビジョニングパッケージとして工場で組み込んでPCを出荷。PCがユーザーに納品され、箱を空けてインターネット経由でWorkspace ONEに接続すると自動でセットアップが完了し、統合ワークスペース環境を利用できるようになります。従来のようにPCの機種ごとにOSイメージを作成し、大型アップデートのたびにイメージを更新する、PCが納品された後にユーザーの個別設定を手作業で行うといった煩雑な作業が不要になります。

      ユーザーごとにカスタマイズが必要であれば、Workspace ONEを通じて必要なアプリケーションやサービスをすぐに展開できるわけです。IT部門の初期展開にかかる工数は大幅に削減できます。

      松井 デルのPCは自前の工場で製造・販売するダイレクト・モデルが主流。出来上がったPCに対してキッティングを行うのではなく、製造工程の中でキッティングを行うサービスを提供させていただいておりますが、これが他社のキッティングサービスとの一番の違いとなっておりました。今回のDell Provisioning for VMware Workspace ONEをお使いいただくことで、今までのサービスでは提供できなかった2次キッティングという工程の自動化が図れ、提供までのリードタイムも短くなる上、工場から直にお客様の手元にPCを届けることも可能となり、配送プロセスも簡素化されます。この相乗効果により、キッティングにかかる時間とコストを大幅に低減できます。

      金野 オンサイトによるPC設置・展開を行うサービスメニューも用意しており、既存環境からのデータ移行や旧PCのデータ消去など工場キッティングでは対応が難しい作業についてもオンサイトでサポートできます。

      ※日経コンピュータ 2019年8月22日号/顧客満足度調査 2019-2020ノートPC部門、デスクトップPC部門2年連続1位

    • ──業務部門のユーザーの利便性向上を実現し、同時にIT部門の作業負荷も軽減する。つまり、IT環境の全体最適を目指しているということでしょうか。

      松井 その通りです。Dell TechnologiesではIT環境全体をモダナイズする「ユニファイドワークスペース」というコンセプトを打ち出しています(図3)。今回紹介したWorkspace ONEとDell Provisioningもこの一環として提供しています。すべてのエンドポイントの展開・保護・管理・保守をカバーし、ユーザーエクスペリエンスの向上を図る。これによって、お客様の生産性向上や業務効率化に貢献します。

    • ──ユニファイドワークスペースというコンセプトのもと、今後どのような機能・サービス強化を図っていくのでしょうか。

      金野 管理者の負荷軽減とユーザーの利便性向上を加速させるモダン・プロビジョニングをデルは引き続き推進します。Workspace ONEおよびDell Provisioningを有効活用していただくための各種サービスも今後さらに充実させる計画です。

      松井 深刻化するセキュリティリスクを見据え、デバイスのBIOSをチェックして異常がないか管理できる仕組みも提供する予定です。今後もDell Technologiesが持つ幅広いポートフォリオから、お客様のペインポイントに沿った提案を行うことで、働き方改革のみならず、DXの成果を実感できる「真のデジタル変革」の実現を強力に支援していきます。

      大村 VMwareとしても、Workspace ONEを通して、「従業員のデジタル体験の向上」と「エンタープライズクラスのセキュリティ」の両立を支援することで、お客様の「働き方改革」に貢献していきたいと考えています。

      ──本日はありがとうございました。

    • 日経BP社の許可により、2019年11月12日~ 2019年12月9日掲載 の 日経 xTECH Special を再構成したものです。