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    映像制作のプロ企業に学ぶ、動画制作環境に必須のポイントとは

    • 4K/8K時代を見据えたコンテンツ制作のこれから

      新たな技術の進展により、あらゆる業種・業態でデジタル化が加速している。デザインや広告、動画などの制作に携わるクリエイティブ業務もその1つだ。

      特にデジタル動画は、ここ数年ですっかり身近なものとなった。多くの企業が動画コンテンツを積極的に活用しており、テレビや映画、アニメ、ゲーム、Web、展示会など、様々なビジネスシーンで、情報発信力と表現力の強化に貢献している。

      消費の中心となりつつあるデジタルネイティブ世代の台頭で、動画コンテンツはテレビやスマートフォン、PC、タブレットと、あらゆるデバイスをシームレスに巻き込みながら視聴される時代となっている。こうしたコンテンツを見る・楽しむ側のデジタル化の広がりに伴い、制作側にもデジタルへの対応が強く求められてきている。

      時代は確実に4K/8Kへと向かっている。現行のフルハイビジョン(HD)の表現力だけでは物足りなくなったユーザーの期待や興味に応える上でも、クリエイティブ業務のさらなる進化は必須だといえるだろう。

      とはいえ、感性やアイデアをフルに生かした良質な動画コンテンツを制作するためには、最新のデジタル機材の活用が不可欠だ。レンダリング処理や編集をはじめとする動画制作では、非常に重たいデータやアプリケーションをストレスなく編集できるハイエンドな環境が必要となるからだ。

      4K/8K時代を見据えた今後の動画制作に向けた環境をどう整えるべきなのか。その参考となるのが「レイ」だ。

      レイは、業界屈指のデジタル映像の総合プロダクションとして、広告関係者・テレビ関係者のみならず、クオリティを重視するアーティスト・映画製作者にも高く評価される企業。誰もが耳にしたことのあるCMやミュージックビデオ、映画などの映像制作、CG/3D制作、DVDやブルーレイのパッケージ制作など幅広い分野で事業を展開している。同社では、良質なコンテンツ作りに向けて、どのような制作環境を整えているのか。

    • 良質なコンテンツ提供に向け、プロが注目する制作環境とは

      株式会社レイ
      映像技術事業本部
      マックレイ技術部
      部長
      阿部 直行氏

      「ポストプロダクションではここ数年、4KやHDRをはじめとする高解像度ニーズが着実に増えています。当社でも、お客様ニーズにマッチしたあらゆる映像フォーマットへの対応を図るため、編集スタジオの機材を順次、最新スペックのシステムへと更新している最中です」と語るのは、レイの阿部 直行氏だ。

      レイでは、映像プロダクションや放送局、映画会社、広告代理店向けのコンテンツを制作するため、デジタル映像加工用のワークステーションを本社ビル内の各フロアに設置。そのマシンルームと14室の編集スタジオをつないで提供している。

      以前からハードウエアの保守サポート切れや、ストレージのデータ容量逼迫などのタイミングで、最新スペックの機材に入れ替えるアップデートを行ってきたが、2019年にもタワー型ワークステーションの一部を刷新することになった。そこで重視されるのはパフォーマンスと信頼性・安定性だという。

    • 編集スタジオのイメージ

      この編集スタジオとマシンルームをつなげ、CMやミュージックビデオ、映画などの映像制作を行っている
    • 「ハードウエアで常に重視しているのがパフォーマンスと信頼性・安定性です。動画制作には長い作業時間がかかりますが、クライアントの最終チェックや納期はあらかじめ決まっています。毎回、限られた時間内でどこまでクオリティを高められるかという時間とのせめぎ合いになるため、マシンパフォーマンスが高ければ高いほど、より多くのトライアル&エラーができることになるのです。また、締め切りがあるだけに動画編集はミッションクリティカル性の高い業務。作業途中でのシステムダウンも許されません」(阿部氏)

      そして、ノンリニア編集のデファクトスタンダードである「Autodesk Flame Premium」というソフトウエアに対応していることも必須条件だった。Autodesk社のサーティフィケーション(認定)プログラムには、単純なスペックだけでは適合できない、高レベルな要求仕様が課せられている。

      映像制作システム環境のシステムインテグレーターであるビジュアル・グラフィックスが、これらの条件に適合した新システムとしてレイに提案したのが、Dellのラック型ワークステーション「Dell Precision 7920 Rack」だった。

    • Dell Precision 7920 Rack

    • 動画制作に必要な環境がわずか2Uのスペースに

      ビジュアル・グラフィックス株式会社
      事業戦略室
      ジェネラルマネージャー
      FLAMEエバンジェリスト
      鳥羽 浩行氏

      レイの制作要件に対応した新システムとして、Dell Precision 7920 Rackを提案した理由を、ビジュアル・グラフィックスの鳥羽 浩行氏は次のように説明する。

      「Autodesk Flame Premiumのあらゆる挙動に対して、高レスポンスや安定稼働が得られる要件を満たしているとされるのが、FLAMEサーティフィケーション認定マシンです。その選択肢の中でもDell Precision 7920 Rackは、最新のGPUや大容量メモリ、ファイルI/Oが速いNVMeなどを柔軟性の高い構成で搭載できます。そのメリットに加え、省スペース性に優れたラック型であることも大きな特長の1つです。このマシンなら従来のタワー型ワークステーションに比べ、新たな付加価値が提供できるのではと考えました」

      これまでレイが導入していたタワー型ワークステーションは、ラックマウントにも対応していたが、ハイエンドのGPUやストレージなどを一緒に格納するタワー型のシャーシは、5~6U程度のスペースが必要だった。これに対してDell Precision 7920 Rackは、同等のシステム構成でも2Uのスペースで済む。

    • レイの阿部氏も「以前と同じハイパフォーマンスのシステムを、これほど省スペースなラック型ワークステーションで運用できると知り、正直驚きました」と振り返る。

       

      マシンルームに格納されているDell Precision 7920 Rack

    • さらに、システムの信頼性や可用性を高める重要なポイントとして一緒に提案されたのが「iDRAC Enterprise」である。iDRACはハードウェアレベルでPrecision 7920 Rackに組み込まれおり、必要な機能レベルを選択できる管理ツールで、電源操作や温度管理、冷却ファン管理、BIOS設定やディスクのRAID設定などをリモートで管理することができる。

       

      ビジュアル・グラフィックス株式会社
      セールス&コンサルティング部
      シニアマネージャー
      原田 幸太郎氏

      「Dell Precision 7920 RackとiDRAC Enterpriseをセットで提供することで、今までできなかったリモートメンテナンスが行えるようになります。従来はシステムに不具合が生じた場合、一度システムを止めてオンサイトで対応しなければなりませんでした。しかしiDRACを使えば、当社のオフィスから遠隔でワークステーションの稼働状況を監視し、編集作業を継続したままメンテナンスすることができます」と、ビジュアル・グラフィックスの原田 幸太郎氏は語る。

    • デモ機の貸し出しや有形無形のサポートがデルを選択する決め手に

      ビジュアル・グラフィックスではレイへの提案に先立ち、デモ機として貸し出されたDell Precision 7920 Rackを使用して社内で検証。ミッションクリティカルな動画編集システムに求められる要件を、様々な角度から徹底的にテストしてきた。

      「お客様要件に合致したシステムを、いかに最適なスペックとコストで提案できるかはSIerとしての腕の見せ所です。DellのWebサイトには、細かな設定変更やカスタマイズが行えるナレッジやノウハウ、グローバルな事例集が集約されており、我々自身でお客様要件に対応できる環境が整っていました。デモ機の貸し出しや有形無形のサポートが非常に充実していた点が、Dellを新システムに選んだ大きな理由です」(鳥羽氏)

      レイは2019年4月、まず4台のDell Precision 7920 Rackを旧システムに代えて導入。7月にはさらに2台を新規スタジオ用に追加導入し、制作環境の拡充を図った。基本となるシステムは、CPUにインテル® Xeon ® Gold 6136(3GHz)デュアルを選択。メモリ192GB、GPUにはNVIDIA® QUADRO® P6000、RAIDにはNVMe SSD(Dell Ultra-Speed)を搭載している。

      「導入してまだ日が浅いのですが、制作現場からの評価は上々です。“このマシンを一度使ったら、もう元の環境には戻れない”という声が日増しに高まっているのが、それを如実に物語っています」(阿部氏)

      パフォーマンス性だけでなく省スペース性・省電力性の効果も大きい。既存のワークステーションは、周辺ユニットやストレージも含めたフルタワー構成が当たり前だったため、マシンルームの広さや24時間稼働する冷却用エアコンの廃熱処理でも一定のファシリティ要件が求められていた。だが、わずか2Uのラックスペースで済み、省電力性能も高いDell Precision 7920 Rackの導入によって、その固定観念が覆されたという。

      「編集スタジオが入っている建物自体のキャパシティは現状がマックスの状態です。しかし今後のシステム更新で、より省スペースにマシンルームが作れるのなら、編集スタジオやほかの作業スペースをもっと増やすことができます。今回のシステム導入は、将来的なシステム集約や業務レイアウトを見直す大きなきっかけになりそうです」(阿部氏)

      iDRACとの組み合わせでメンテナンス性も大幅に向上した。ワークステーションの稼働監視はもちろん、ソフトウエアのアップグレードやライセンスのインストールなども、ビジュアル・グラフィックスが遠隔からサポート。制作業務に支障をきたすことなく、バックグラウンドで運用やメンテナンスを行える環境が整いつつある。

      ビジュアル・グラフィックスは、今後もレイのクリエイティブワーク環境を支援するとともに、今回構築したシステムを映像・放送業界や動画コンテンツに注力する企業など幅広い企業に提案していく予定だ。

    • 日経BP社の許可により、2019年10月31日~ 2020年1月29日掲載 の 日経 xTECH Active Special を再構成したものです。