• 装飾

    データを守るだけでは生き残れない――データを価値に変えるストレージの新機軸

    「新たな石油」と称されるデータをどう活用するのかという課題が企業を悩ませる。データは膨張しクラウドを含めあらゆる場所に散在する。これらを正しく保護・管理し、価値を引き出すための画期的な方法が生み出された。

    • 膨大で散在するデータ管理の課題

      データを業務や経営に活用することは重要なIT戦略の一つだが、従来通りのやり方では、あらゆる場所に散らばる膨大な量のデータを保護・管理し、統合的に活用することが難しくなっている。

      例えば、全従業員がそれぞれ10万通のメールをPCに保有している場合。このメールデータを分析するためには分析基盤に集めなければならないが、ペタバイト級のメールデータをネットワーク経由でコピーするのが難しいことは容易に想像がつく。

      こうした課題に対し、ストレージとデータ保護市場を長年にわたってけん引してきたDell EMCは、明解な解決策を打ち出している。

    • Dell EMC アレックス・レイ氏

      Dell EMCのアレックス・レイ(Alex Lei)氏(アジア太平洋および日本地域のData Protection Solution担当 バイスプレジデント)は「実はストレージ領域で主流となっている『重複排除』や『圧縮』といった技術を応用してデータを小さくすることで、活用の道が大きく開けます」と述べる。

      レイ氏によれば、Dell EMCは重複排除や圧縮といったデータ削減のための技術は他社を圧倒する効率性を誇る。技術的な評価の高さから、同社が提供する「Dell EMC Data Domain」(以下、Data Domain)は、膨大なデータの保護と活用を実現するストレージとして世界中の企業で採用されてきた。

      2019年10月、Data Domainのテクノロジーを継承し、その後継機として登場した最新バージョンが「Dell EMC PowerProtect DD」(以下、PowerProtect DD)シリーズだ。Data Domainソフトウェア資産を継承しながら、ハードウェアアーキテクチャを切り替え、圧縮方式やネットワーク機能の改善、ドライブの増強などを図ったという。

      「パワフルな『Dell EMC PowerEdge』のアーキテクチャをData Domainに適用し、PowerProtect DDと名付けました。旧Dellのハードウェア資産と旧EMCのソフトウェア資産がネイティブに統合されたことが、大幅なパワーアップを果たせた大きな理由の一つと言えるでしょう」(レイ氏)

    • 大幅なパワーアップで巨大なデータも容易に管理できる「PowerProtect DD」

      PowerProtect DDシリーズは、1TBからスタート可能でパブリッククラウドにも導入できる仮想版(Virtual Edition)と、4つのモデルを有するアプライアンスの形態で提供される。そのうち新機種は、PowerProtect DD6900、DD9400、DD9900の3つで、それぞれData Domain DD6800、DD9300、DD9800の後継機に当たる。

      新製品に伴うアップデートで、まず注目すべきはデータ容量の向上だ。データの質によっても変わるが、新たな圧縮機能によって物理データ容量を30%以上削減できる。さらに従来のData Domainと比較してラックスペースは39%、フロアスペースは50%、消費電力や発熱量は35%削減できるという。パフォーマンスも大幅に向上しており、バックアップは38%、リストアは36%スピードアップした他、IOPSも50%向上している。

    • PowerProtect DDシリーズの概要

       

      PowerProtect DD9900とData Domain DD9800を例に取り、その差を比較してみよう。Data Domain DD9800は、最小384TB、最大で1.1PBの物理容量を実現する一方、新製品であるPowerProtect DD9900は、最小576TB、最大1.25PBと容量を拡張している。

    • Dell EMC トリッチー・プレクマ―氏

      「Data Domain DD9800は、1.1PBの物理容量を2ラック分のフットプリントで実現していました。一方PowerProtect DD9900は、1ラック分だけで1.25PBを実現し、論理容量もはるかに向上しています。消費電力も低減していますので、データセンター全体で保有できるデータ量を大幅に拡張できます」と、Dell EMCのトリッチー・プレクマ―(Trichy Premkumar)氏(アジア太平洋および日本地域 Data Protection Solution担当 Principal Systems Engineer)は説明する。

      新たに8TB HDDを採用したことも、データ容量・密度の向上に貢献している。とはいえ、HDDは1ドライブ当たり容量が大きければ大きいほどI/Oの性能が低下するため、大きなドライブを使うとパフォーマンスが落ちるという問題がある。これを防ぐために、Dell EMCはハードウェアの性能を向上させたり、データ圧縮やハードウェアオフロードなどの技術を応用したりして、IOPSの向上を図った。さらに、SSDの割合を増やしてキャッシュヒット率を向上させ、結果として旧Data Domainと比較して約50%の強化となる6万IOPSを達成した。最大で64台の仮想マシンを搭載できることから、「バックアップデータを、リストア以外のさまざまな用途に活用できるようにもなった」とレイ氏は強調する。

    • PowerProtect DDとData Domainの比較
    • 豊富な独自機能でデータ保護を強化し、マルチクラウドの運用も容易に

      データを取り巻く状況の変化によってセキュリティリスクが高まる中で、データ保護の手法も見直さなければならない。Dell EMCは、この課題に対しても解決策を打ち出している。PowerProtect DDには、独自のセキュリティ機能として「PowerProtect Cyber Recovery」を実装している。この機能を活用すれば、バックアップデータを隔離された環境に保護し、改ざん防止などさまざまな技術で安全性を確保しつつ、サイバー被害時でも重要なデータをリストアできる。ランサムウェアなどバックアップデータにまで影響するサイバー攻撃に効果的で、プレクマー氏は“データ保護の最終防衛ライン”と表現する。

      管理ツール「PowerProtect DD Management Center」も、HTML5ベースにアップデートされてこれまで以上にシンプルな使い勝手とモダンなUIを実現した。複数クラスタにおけるデバイスのコンポーネントも一元的に可視化でき、ハードウェア故障などのトラブルをひと目で把握して迅速に対処できるという。REST APIに対応しており、他の統合管理ツールや自動化ツールとの連携も自在だ。

      さらに、PowerProtect DDは今日のデータ保護のニーズに柔軟に応えられるよう、クラウドサービスとの連携も強化している。例えば、「Cloud Tier」と呼ばれる機能を使えば、長期保管が必要なデータをより安価なパブリッククラウドのオブジェクトストレージサービスに階層化し、低コストに保管できる。

      多種多様なクラウドサービスと連携させることで、DR(災害復旧)の対策を強化することも可能だ。「誰でも簡単にDRを実現できる」とプレクマー氏は述べる。

      なお、パブリッククラウドのオブジェクトストレージサービスは、データを引き出す際に転送料がかかり、大量のバックアップデータをやりとりするとコストが高額になりがちという課題があるが、PowerProtect DDはこの問題にも対処している。

      「PowerProtect DDであれば、高性能な重複排除技術で通信量を削減する他、効率的にデータをレプリケーションする機能が豊富です。DRに関しては、フェイルオーバーを3クリック、フェイルバックを2クリックで完了できる仕様になっています」(プレクマー氏)

      PowerProtect DDは仮想版(Virtual Edition)も用意されており、主要なマーケットプレースで購入できる。この機能を活用すれば、ダイレクトにバックアップデータをやりとりし、オンプレミスシステムのレプリカをクラウドに迅速に展開できる。PowerProtect DDの強力なデータ削減技術があれば、マルチクラウド環境であってもネットワークコストを最小限にとどめながら、データやアプリケーションを自由に行き来させられるということだ。

      「データの移動コストを懸念するが故にマルチクラウドの活用が進まないという企業は少なくありません。PowerProtect DDであれば、オンプレミス・クラウドを問わず、各プラットフォームの間でデータをシンプルに自由に移動させることが可能です。PowerProtect DDは、単にデータを保護するためのストレージ製品ではありません。企業の利益向上やリスク低減に寄与し、データから価値を引き出してビジネスを促進させるソリューションなのです」(レイ氏)

      単なるバックアップ製品に止まらず、企業におけるデータ活用のニーズに応える豊富な機能をそろえたDell EMCのPowerProtect DDは、IT戦略の中核を成すシステムとして心強い味方になりそうだ。

    • この記事は TechTarget Japan (http://techtarget.itmedia.co.jp)に2019年10月に掲載されたコンテンツを転載したものです。https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1910/21/news01.html