検索
    • 日経BP社の許可により、2019年6月6日~ 2019年9月4日掲載 の 日経 xTECH Active Special を再構成したものです。

    なぜ、欧米ではワークステーションによる業務革新が進むのか

    • ますます広がりを見せるワークステーションの活用法

      業務用PCを凌ぐパワーを持ち、信頼性・堅牢性が非常に高いワークステーション。欧米を中心に、このワークステーションの人気が高まっている。ワークステーションといえば、設計エンジニアやデザイナーなどクリエイティブな業務のための端末というイメージが強いが、用途も利用のすそ野も広がりを見せ、その市場規模はワールドワイドで堅調な成長を続けている。

      Dell
      Product Planner, Precision Workstations Product Group
      ロナルド・ロバート氏

      成長の要因の1つは、AIや機械学習といったデジタルテクノロジーの進化と普及にある。「例えば、医療分野ではMRIやCTの画像を解析し、病気の予兆を早期に検知する取り組みが進んでいます。建築分野では建物の設計だけでなく、人流をビデオ解析してフロアデザインの最適化に役立てています。そのエッジデバイスとしてワークステーションが活用されているのです」。デルでワークステーションの製品企画を担当するロナルド・ロバート氏はこのように話す。これまでワークステーションが使われなかった分野でも、その利用が進んでいるのだ。

      端末の小型化・軽量化も市場の成長を後押ししている。タワー型並みのパワーを持つモバイルワークステーションがより小型・軽量化され、パワフルな仕事もオフィス以外で行えるようになった。「AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を活用したデザインのプレゼンテーションをお客様先で行う。そんな使い方へも広がりを見せています」。こう語るのは、ロバート氏と同じくデルでワークステーションの製品企画を担当するグレン・ブラウン氏だ。

    • Dell
      Product Planner, Precision Workstations Product Group
      グレン・ブラウン氏

      そしてもう1つ、大きな要因がコストパフォーマンスの向上である。ワークステーション自体のパフォーマンス向上に加え、より買い求めやすいエントリーモデルも数多く提供されるようになった。コストがネックとなってワークステーションに手が届かなかったユーザーも購入しやすくなっているのだ。

      選択肢の広がりとともに重要になるのが、最適なワークステーション選びである。業務を支えるワークステーションは生産性に直結するだけに、様々な要件を考慮する必要がある。自分の業務に最適なワークステーションは何か。次頁以降で、用途別に最適なワークステーション選びのポイントを紹介しよう。

    •  
    • 用途別、最適なワークステーション選びのコツ

      外出先や移動中などオフィス以外でも3D CADを使ったデザインやシミュレーションを行いたい――。こんな使い方を求めるユーザーには、モバイルワークステーションが有効だ。働き方改革の起爆剤にもなるし、オフィスで使う場合もコンパクトなので、スペースを有効活用できる。「欧米でもオフィスはコンパクトにして柔軟な働き方を目指す動きが加速しています。ワークステーションのモバイル化は世界的な流れです」とロバート氏は話す。

      こうしたニーズに最適なモバイルワークステーションとして注目したいのが「Dell Precisionモバイル ワークステーション」だ。デルはグローバルのワークステーション市場を牽引するベンダーの1社。ワールドワイドのワークステーション市場でトップシェアを誇る(※)。そのデルが提供するモバイルワークステーションの最新製品が「Dell Precision 3540モバイル ワークステーション」である。

      ※出典:IDC Worldwide Quarterly Workstation Tracker 2017 Q4‐2019 Q1 Share by Company

    • Dell Precision 3540モバイル ワークステーション

    • これは可搬性、パフォーマンス、低価格を追求する「Dell Precisionモバイル ワークステーション 3000シリーズ」の最新機種。「デルとして初めてUシリーズのインテルプロセッサを採用し、2Gバイトのグラフィックメモリを持つAMDのグラフィックカードも搭載。AIや機械学習による分析、エントリーレベルの3Dグラフィックス処理などに最適な、コストパフォーマンスの高いモバイルワークステーションです」とブラウン氏は説明する。

      Uシリーズのインテルプロセッサは、描画や動画エンコード処理に優れたモバイルデバイス向けCPU。これにより、ACアダプタの小型化も可能になった。「従来のHシリーズ プロセッサを搭載する前機種と比べて、アダプタ込みの重さで約1ポンド(約500g)軽量化されています。『筐体をコンマ数ミリ薄くするよりは、設置面積を小さくしてほしい』というお客様のご要望に応え、筐体サイズも約10%小型化しました」(ロバート氏)。

      多様な働き方を支える周辺機器類も充実している。緻密なエンジニアリング作業に最適な大型モニター、3D CAD作業などを効率化するスペースマウス、描画用デバイスのDell Canvasなどのほか、それら外付けデバイスをつなぐためのドッキングステーションなどを幅広く取り揃えている。

      さらにまもなく発表される「Dell Precision 3541モバイル ワークステーション」は、3540とほぼ同じサイズ・重量でありながら、第9世代CoreプロセッサやXeonプロセッサ、4GバイトのNVIDIA グラフィックカードも搭載可能で、よりパワフルな使い方に対応できる。

    • デルのワークステーションはハード/ソフト一体で進化

      もちろん、自席に腰を据えて高度なエンジニアリングやシミュレーション、高精細な映像制作に打ち込みたいというニーズに対応した製品もある。それがDell Precisionのタワー型ワークステーションだ。エントリーモデルの3000シリーズ、ミッドレンジモデルの5000シリーズ、ハイエンドモデルの7000シリーズの3種類がある。

      3000シリーズはデルのポートフォリオのなかで最も成長している分野だという。価格を抑えつつ、パフォーマンスがどんどん上がってきていることから、AIや機械学習による分析、クリエイティブ業務も3000シリーズで十分対応できるようになった。「今夏には第9世代CoreプロセッサやXeonプロセッサを搭載したシリーズ製品を提供する予定です。今まで最大6コアだったものが8コアまで拡張され、パフォーマンスが大幅に増強されます」とブラウン氏は話す。

    • Dell Precision タワー 3000シリーズ

    • 7000シリーズは、従来のSkylake-SP CPUに比べて11倍の深層学習推論性能を発揮するといわれるCascade Lake-SP CPUをサポート。ターボモードで最大4.4GHzまで動作クロックが上がり、メモリ動作クロックも2933MHzまでサポートする。「プロセッサごとにメモリ容量3Tバイトなので、デュアルソケットのマシンであれば、最大6Tバイトのメモリまで拡張可能です。Optane DC Persistent Memoryのサポートも予定しており、シングルDIMMとして512Gバイトまで対応できます。AIや機械学習により効果のある命令セットも実装しています。コストパフォーマンスが良く、買い求めやすいだけでなく、より強力なCPUパワーをフルに引き出せます」とロバート氏は語る。

      さらに5000/7000シリーズは、NVIDIAから発表されている高性能グラフィックカード「Quadro RTX」も利用可能だ。Quadro RTX自身が専用コアを搭載しているため、高度なレイトレーシング作業やVRシミュレーション、AIや機械学習による分析を、より高速かつ安定的に行える。

    • Dell Precision タワー 5000/7000シリーズ

    • モバイルもタワー型も、デルのワークステーションはソフト面のパフォーマンス向上を図る仕組みも実装している。それを実現するのが、AIによるパフォーマンス最適化ソフトウエア「Dell Precision Optimizer」である(図)。例えば、使っているアプリケーションの動作が遅くなった際、どこにボトルネックがあり、どうすれば解消できるかを提示する。「従来はバンドルアプリケーションのみ対象でしたが、新機種に搭載される最新版は追加アプリも内製の自社アプリも分析対象とすることができます。アプリの種類や使い方にもよりますが、最大587%(※)のパフォーマンス向上が見込めます」とロバート氏はメリットを述べる。

      ※Based on Dell internal testing, May 2018, using SPECapcPTC Creo3.0 benchmark test comparing a Dell Precision Tower 3630 with Dell Precision Optimizer vs. same system with factory standard settings. Actual performance will vary based on configuration, usage and manufacture variability.

    • Dell Precision Optimizerの管理画面

      Dell Precisionで利用するアプリケーションについて、CPU使用率、メモリやディスクの使用量などをリアルタイムに分析。ボトルネックの要因とその改善策などを提示する。利用環境を最適化することで、マシンを長く快適に使い続けることができる
    • 新製品はいずれもWindows 10対応モデルだ。現在もWindows 7を使い続けているユーザーも少なくないが、そのサポートは2020年1月14日に完全終了する。Dell Technologiesの一員であるデルは、その技術力・ソリューション力を生かし、Windowsのマイグレーションまでトータルに支援できる。「安全・確実なマイグレーションにより、システム全体のボトルネックを解消し、信頼性・安定性の高いワークステーション環境の構築が可能です」(ブラウン氏)。

    • ワークステーションで仕事の可能性が大きく広がる

      このように進化を続けるDell Precisionシリーズは、グローバルで広く利用され、多くの企業が高い導入効果を生み出している。

      例えば、米国のある工場では作業現場のクオリティコントロールにワークステーションを活用。作業手順を画像解析することで、手順ミスの防止や生産性向上に役立てている。使用したパーツの補充にもこの仕組みを活用し、作業の停止や遅延を防止する取り組みも進めている。「パワフルなワークステーションが身近な存在になったことで、こうした活用法が可能になったのです」とロバート氏は話す。

       自動車メーカーや航空機メーカーでは、エンジニアリングのエッジ端末としてワークステーションを活用する流れが加速している。従来は複雑かつ大容量の電子回路データをエッジ側の端末で処理することが困難だったため、データセンターのサーバー群で処理するやり方が一般的だった。しかし、ワークステーションの性能向上に伴い、サーバーで担っていた高度な作業をエッジのワークステーションで行えるようになった。「製品の設計やデザイン、その解析やシミュレーションもワークステーションで完結できる。従来別々だったワークフローを統合することで、開発スピードが向上し、システム全体の最適化にもつながっています」とブラウン氏は語る。

       ワークステーションをエッジ端末として活用する流れは様々な産業に広がりつつある。実際、ある金融機関では顧客のID盗難を検知するアルゴリズムの開発・テスト用端末としてワークステーションを活用している。ワークステーションの性能が上がったことで、大規模なサーバー群による開発環境を整備することなく、開発とテストが行えるからだ。顧客のニーズに応えるサービスを素早くリリースする――。デジタル変革を支えるツールとしてもワークステーションの期待が高まっているという。

       そのほか、建築現場では持ち運びに便利なモバイルワークステーションが活躍の場を広げている。作業現場を映像分析し、危険個所を事前に把握。作業員に注意喚起することで、事故防止に役立てている。ドローンの空撮映像をワークステーションで分析し、交通管理や犯罪者の追跡などに活用している警察機関もある。

      では、なぜデルのワークステーションは市場で高く評価され、幅広い領域で活用が進んでいるのか。ロバート氏は次のように語る。「単にデータから必要なスペックを導き出すだけでなく、多くのお客様と対話して信頼を醸成し、その声を製品開発にフィードバックする。そういうリレーションの構築・拡充に努めているからです。Dell Technologiesの強みを生かし、ワークステーションを軸にしたビジネス変革ソリューションの提案・構築にも力を入れています」。

      デジタル化の進展とともに、扱うデータ量は加速度的に増大し、アプリケーションも高度化・複雑化していく。これを円滑に処理するためにはパワフルなワークステーションが必要だ。今後もデルは日本を含むグローバルの顧客の声を反映し、よりコンパクトでパフォーマンス、信頼性・堅牢性の高いワークステーションの開発に努め、広がりを見せる多様なニーズにきめ細かく対応していく考えだ。