特定の職種に限定されてしまっている働き方改革。その訳は
政府の強力な後押しのもと、多くの日本企業で進められている働き方改革。少子高齢化に伴う労働力人口減少への対応はもちろんのこと、海外の競合に打ち勝つための生産性向上、さらには従業員一人ひとりの”働きがい”を高める上でも、この取り組みは避けて通れないといえるだろう。
しかし、その働き方改革が特定の職種に限定されてしまっているケースは少なくない。実際、外回りの多い営業職や、そのサポートスタッフ、マーケティング部門、事務職などでしか取り組みが進んでいない企業は多いはずだ。
働き方改革推進のカギの1つは、どこででも働けるワークスタイルの実現にある。そのために利用されているのが、軽量なモバイルPCやタブレット端末だ。しかしエンジニアやクリエイターといった専門性の高いビジネスパーソンの多くは、現在でもデスクトップのワークステーションを利用している。高いCPU処理能力や大容量メモリー、高度なグラフィック処理を必要とするため、一般的なノートPCでは業務が行えないと考えられているからだ。
実際、IDCの調査(※)によれば、日本国内におけるモバイルワークステーションの比率は、ワークステーション全体の10~15%にすぎない。つまり専門性の高いビジネスパーソンの多くは、まだ“どこでもワークスタイル”を実現していないわけだ。しかし、この状況は近いうちに大きく変化していくことになるだろう。
既に海外では、この10年の間にモバイルワークステーションの比率が急増しており、全世界では37%に達している。その中でも特に比率が高いのが、米国の50%と西ヨーロッパの43%。「モバイルファースト」の流れは、専門領域でもかなりの勢いで進んでいる。日本はこの流れに後れをとっているのだ。
これに加えて、ワークステーションのモバイル化に拍車をかけるような動きも起きている。それが「高性能」と「コンパクトさ」を両立したワークステーションの登場だ。
※IDC Workstation Tracker Final Historical Pivot 2018Q4