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    お客様の事例

    国立循環器病研究センター

    • 大規模病院情報システムのVDI端末として「Dell Wyse」をフル活用

      心臓病と脳卒中を対象とした最先端医療・研究施設として世界有数の規模を誇る国立循環器病研究センターは、2019年7月の移転に伴い病院情報システム(HIS)や事務システムのクライアント環境をVDIによって仮想化し、情報システム端末としてデル・テクノロジーズのシンクライアント端末を約2,000台導入・活用している。また、センターのバイオバンクと創薬オミックス解析センター(ORC)も共有ストレージとしてデル・テクノロジーズの製品「Dell EMC Isilon」を採用し、全ゲノム解析によるデータの爆発的な増大に対応している。

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    • ビジネス課題

      国立循環器病研究センターは従来、PC(ファットクライアント)とサーバーから成る基盤上でHISや事務システムなどの情報システムを運用していた。ただし、システム調達が部門ごとに行われてきたこともあり、IT資産管理やセキュリティ統制を含む運用管理の効率性に問題を抱えていた。そこで2019年7月のセンター移転を機にVDIによって仮想デスクトップの環境を構築し、端末の運用管理性を大幅に高めるという方針を掲げた。一方、バイオバンクとORCでは、研究/解析用データの増大と一元管理、アクセスコントロールの効率化などを実現する共有ストレージの調達を目指していた。

    • 導入効果

      • Dell Wyseシンクライアントの活用により、端末の交換や新規設置時にソフトウェアのセットアップが不要になり、機器故障への対応や臨時の端末設置が迅速化。
      • クライアント端末からソフトウェアとデータを切り離したことで、センター内での人の異動への対応が柔軟・スピーディに。
      • ノート型のシンクライアント(Windows 10 IoT搭載 Dell Latitude)の採用で、センター職員のテレワークを可能に。
      • VDIとシンクライアント端末の導入により、 端末資産管理の手間が大きく低減。
      • Dell EMC Isilonストレージの採用で、バイオバンクのデータの集約・一元管理とアクセスコントロールが効率化。
      • Dell EMC IsilonストレージとDell EMC PowerEdge R740サーバーの導入で、全ゲノム解析にも対応するストレージのスケーラビリティと解析性能を担保。
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        「HIS端末のシンクライアント化は、医療従事者の働きやすさを増すという点で、意義の大きな改革だと確信しています。今後も、描いた目標に向け情報システムの改革を進めていきたいと考えています」

        国立研究開発法人国立循環器病研究センター
        情報統括部長
        医療情報部長
        博士(工学)
        平松治彦氏

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        国立研究開発法人国立循環器病研究センター
        情報統括部長
        医療情報部長
        博士(工学)
        平松治彦氏

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        国立研究開発法人国立循環器病研究センター
        バイオバンク データリソース管理室長
        糖尿病・脂質代謝内科医長
        博士(医学)
        野口倫生氏

    • 1977年創設の国立循環器病研究センター(以下、国循)は、脳卒中・心臓血管病患者の専門的で先端の治療・研究を推進する、世界有数の大規模施設だ。「病院」「研究所」「オープンイノベーションセンター(OIC)」の3部門から成り、3部門を一体として運営している点を大きな特徴とする。2019年4月に従来の研究開発基盤センターを臨床研究・疫学調査・知的資産活用など、病院と研究所が連携した複合領域の研究を推進するOICへと改組し、「循環器病統合情報センター」「バイオバンク」「創薬オミックス解析センター(ORC)」をOICの傘下に組み入れている。

      そうした国循では2019年7月に施設全体を大阪の吹田市岸部に移転し、その移転を機にセンターのネットワークシステムと情報システムを全面的に刷新した。新システムでは、病院情報システム(HIS)をはじめとする情報システムにVDIを採用し、デル・テクノロジーズ(以下、デル)の「Dell Wyseシンクライアント」を導入・活用している。

      デルの製品は、国循の研究用途としても使われており、バイオバンクとORCでは、共有のストレージ環境として「Dell EMC Isilon」とサーバーの「Dell PowerEdge R740」を活用している。

    • ハードウェアとソフトウェア、データを切り離す

      大阪の岸部に全面移転された国循の新たな施設(以下、新センターと呼ぶ)は広大で、病院の病床数は550床に及び、主な診療分野だけで、心臓病、補助人工心臓・心臓移植、脳卒中、生活習慣病、小児循環器疾患、産婦人科、予防健診などと多岐にわたる。職員の数も、病院・研究所・研究開発基盤センターの3部門合計で約1,800名に達する。

      新センターでは、ネットワークシステムと情報システムのほぼ全てが旧来のセンターから様変わりしているが、そのシステム刷新に当たり掲げられた方針は、「ハードウェアとソフトウェア、データの分離」「(エンドユーザーにとっての)利便性の向上と情報セキュリティの確保」「調達・運用コストの抑制」の大きく3つだ。この方針の下、電子カルテを中心に約50の部門システムから成るHISや事務システム、さらには、メール、グループウェアなどのオフィス系システムなどの情報システムのサーバー、およびクライアントが仮想化され、クライアントについてはVDIによる仮想デスクトップ環境が構築された。

      「ハードウェアとソフトウェア、データはそもそもライフサイクルが異なり、私たちにとって最も重要な資産はデータです。そのデータとソフトウェア、ハードウェアが密結合の状態にあると、例えば、ハードウェアの老朽化によって変える必要のないソフトウェアまでを更新する必要に迫られたり、その逆が発生したり、ハードウェア、ソフトウェアを変えるたびに新しい環境へのデータの移行が必要になったりと投資の無駄や無駄な作業が多く発生します。そのような事態が起こらないようにするには、ハードウェアとソフトウェア、データの分離が必要で、VDIによる情報システム端末のシンクライアント化はそのための一策と言えます」と、国循情報統括部長兼医療情報部長の平松治彦氏は説明する。

      また旧来は、情報システムの端末としてファットクライアント(PC)を使用し、かつ部門ごとにシステム調達を行っていたことから、運用管理上の問題もさまざまに抱えていたという。なかでも大きな問題だったのは、PC全台の資産管理を徹底すること──つまりは、どのPCにどのようなソフトウェアがインストールされ、そのバージョンがどのような状態にあるかを完全に把握し、包括的な管理を行うのが困難だったことだ。また、それゆえに、PCのセキュリティを高いレベルで均一化するのも難しかったという。

      そのような状態で施設全体の移転に向けた患者の移送が始まると、移送中は旧センターの機能はそのまま維持しながら、新センターの情報システムと端末も稼働させなければならなくなる。その運用を、ファットクライアントを使用したままの状態で行うのは至難といえた。「そのことも、私たちがVDIの採用と端末のシンクライアント化に踏み切った一因と言えます」(平松氏)。

    • シンクライアント端末により端末の交換・設置がスピードアップ

      VDIの採用を決めた国循では、Windows 10 IoTを搭載したデルのDell Wyse シンクライアントを導入し、HISや事務システムの端末として活用している。導入台数は、Windows 10 IoT搭載のノートPC「Dell Latitude」と、デスクトップ型のDell Wyseシンクライアントの合計で約2,000台に上る。

      ファットクライアントからシンクライアントへの移行によって、国循はいくつかの効果を手にしている。効果の一つは、端末のソフトウェア資産の管理が容易になったことだ。また、故障端末を代替機に切り替えるスピードもアップしたという。

      「ファットクライアントを使用していたころは、端末故障が発生した際に、代替機のソフトウェアをセットアップし、のちに端末の交換を行う必要がありました。それに対して、Dell Wyseシンクライアントでは、そうしたセットアップ作業を経ずに端末の交換がスピード感をもって行えます。また、今回のコロナ禍(新型コロナウイルス感染症の流行)のような有事のときには、臨時外来を即座に立ち上げる必要がありますが、そのようなときも、HIS端末を即座に用意して、臨時外来に設置することが可能です」(平松氏)。

      こうしたメリットは、データとソフトウェアをハードウェア(端末)から分離させたことにより生まれたものだ。この効果は、事務職員等の異動の際にも発揮されるという。ファットクライアントの使用時には、事務職員の異動があるたびに、その事務職員のメールデータをクライアントから抜き出して、移動先のクライアントに入れるという作業が発生していたが、 シンクライアント端末への切り替えによってそうした手間がなくなった。

      Windows 10 IoT搭載のDell Latitudeのように可搬型のシンクライアント端末によって、センター職員のテレワークが可能になったという効果もある。診療にかかわる医師や看護師は職務上、テレワークという働き方が適用しづらく、かつ、セキュリティ面での懸念もあり、「テレワークを認めるかどうかはまだ検討段階」(平松氏)という。ただし、事務職員などについてはテレワークに大きな問題はなく、実際、今回のコロナ禍対策としてWindows 10 IoT搭載Dell Latitudeを用いてテレワークを実施した事務職もいるという。

    • シンクライアント化で医師の働き方も変わる

      さらに、VDIによる端末のシンクライアント化は、医師が国循のセンター内のどこからでも電子カルテの情報にアクセスできる可能性を広げ、それだけでも大きな意味があると、平松氏は言う。

      「従来、HIS端末は、医局内に固定的に設置され、動かせない状態にありました。そのため、例えば、当直中の医師が急遽、電子カルテの情報にアクセスする必要に迫られた場合、当直室から医局に急行し、端末を操作しなければならなかったわけです。それが今では、医師の私用の端末や可搬型のシンクライアント端末を使い、当直室から直接、電子カルテの情報にアクセスできる可能性が広がっています。これは、医師が必要なデータにアクセスするスピードが増すという点でも、医師の負担を軽くするという意味でも大きな変革つながるものと見ています」(平松氏)。

      この点については、国循の糖尿病・脂質代謝内科医長の野口倫生氏も高く評価する。野口氏は、私用の端末上でHISの仮想デスクトップを試験的に活用している。

      「私たち医師は、当直時はもとより、どのような場所にいても、緊急で呼び出され、患者の方の電子カルテにアクセスし、処方などの指示を出さなければならないことが多くあります。ですから、いつも携行している端末で、電子カルテの情報にアクセスできるというのは、非常に便利ですし、とても助かります」(野口氏)。

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        「当センターでも、全ゲノム解析が始まりますが、そうなればバイオバンクやORCで管理するデータは今後猛烈な勢いで増えていくでしょう。Dell EMC Isilonを導入しておいてよかったと改めて感じています」

        国立研究開発法人国立循環器病研究センター
        バイオバンク データリソース管理室長
        糖尿病・脂質代謝内科医長
        博士(医学)
        野口倫生氏

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        バイオバンクとORCが共用する 「Dell EMC Isilonストレージ」

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        2019年7月に大阪府吹田市岸部に移転した新たな国立循環器病研究センター。地上12階・地下2階・延床面積12万9,881平方メートルの規模がある。

    • 全ゲノム解析の始動によるデータの激増にDell EMC Isilonストレージで対応

      野口氏は、国循の医師であると同時にバイオバンクデータリソース管理室長でもある。

      先にも触れたとおり、国循のバイオバンクではORC(創薬オミックス解析センター)と共有するストレージ/データ解析環境として、デル製品であるDell EMC IsilonストレージとDell EMC PowerEdge R740サーバーを活用している。

      バイオバンクは、同意を得た患者の血液をはじめ、手術・検査の際に摘出され、診断に使用された組織の一部などの生体試料と、それに付随する臨床情報とを併せて保存し、病気の原因解明や未来の医療に役立たせる仕組みだ。国循のバイオバンクは、6つの国立高度専門医療研究センター(NC)が運営するナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(NCBN)の一員でもある。

      一方のORCは、オミックス(*1)解析を通じて、循環器疾患の原因究明や創薬・治療・診断・予防法の開発を推進している。

      このうち、国循のバイオバンクでは、同意者からの生体試料・臨床情報の収集と管理とそれらを用いた研究結果(解析データ)を集約し、管理する任務を担っている。これまではバイオバンク試料を用いた研究においても各研究部署毎に解析結果が保存され、データ管理の分散化が進み、データにすみやかにアクセスできる状況にはなく、また重複した解析が行われる可能性が危惧されていた。ゆえにアクセス権限管理を適正化し、ORCと共有するストレージを利用して解析結果等を管理する方針となった。「結果として、ストレージで一元的に管理すべきデータ量もハイペースで増えていくことが予想されました」(野口氏)。

      Dell EMC IsilonストレージとDell EMC PowerEdge R740サーバーは、このような課題を一挙に解決しうるストレージ環境として導入された。そして、両製品の導入から約1年が経過した段階で、国循内や共同研究で全ゲノム解析(*2)を推進することにもなった。

      「全ゲノム解析は、ゲノムの一部を解析する場合に比べて、扱うデータのサイズが圧倒的に大きくなります。具体的な容量で言えば、人間一人の全ゲノム解析データのサイズは100GBにも達します。ですので、Dell EMC Isilonで大きなデータの器を作っておいて、本当に良かったと感じています」(野口氏)。

      もっとも、100GBは一人分にすぎない。ゆえに、さらに全ゲノム解析の研究が進展すれば、導入したDell EMC Isilonストレージの容量(実質160TB)も、すぐに足りなくなる可能性もあると、野口氏は指摘している。

      国循の研究と情報システムの発展、そして働き方改革を下支えする基盤として、重要な役割を担っているデルの製品。そのこれからに平松氏は、次のような期待を寄せる。

      「今日のデル製品は、優れてはいますが、以前のような強烈な個性が少しなくなっているように感じますし、アピールもまだまだ足りないように思えます。これからもそれぞれの製品に一層の磨きをかけて、私たちのシステムのさらなる進化・発展に一層貢献していただきたいと願っています」

      *1 オミックス:ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボローム、インタラクトーム、セロームなどの分子情報をまとめた情報のことを指す。
      *2 全ゲノム解析:人間が持つ遺伝子の塩基30億すべてを読み取ることを指す。

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      お客様名 : 国立循環器病研究センター

      業種 : 医療・研究機関

      場所 : 日本/大阪