自動検出機能がNVMe/TCPを根本から変革する理由

「SmartFabricストレージ ソフトウェア」(SFSS)において、ホスト インターフェイスとストレージ インターフェイスとの個別設定が不要に

当資料は、2022年12月19日に公開されたブログの抄訳版です。
ブログ原稿 https://www.dell.com/en-us/blog/why-automated-discovery-changes-the-game-for-nvme-tcp/
筆者:Ihab Tarazi

2022年8月のブログで、NVMe IP SANがワークロード パフォーマンスを飛躍的に向上させることと、そしてデル・テクノロジーズがNVMe/TCPコンポーネントを検証し、「SmartFabricストレージ ソフトウェア」(SFSS)にて自動化することで、NVMe IP SAN導入を簡素化する方法について書きました。今回は、この簡素化の決め手になっている自動検出機能に焦点を当てたいと思います。

NVMe/TCPの導入時、多くの組織は、ホストとストレージ アレイ間の接続の管理という共通の課題に直面します。これは、各ホストを適切なアレイ ベースのDiscovery Controllerにポイントするための手作業による設定、確立した接続の監視、接続エラーが発生した場合の対応といった非常に多くの作業が必要になることが原因になっています。

「SFSS」の自動検出機能が、接続管理の課題を解消
「SFSS」によって、ホスト インターフェイスとストレージ インターフェイスを個別に設定する必要がなくなりました。ホストとサブシステムは、自動でSFSSインスタンスを検出して登録されます。自動登録後、「SFSS」は、ホストとサブシステム間の通信の確立を支援するブローカーとして機能します。お客様は、ファイバー チャネル(FC)と同じように、ゾーニングによってホストとサブシステムの関係を設定できます。

IPベースのテクノロジーはコスト削減の可能性とパフォーマンスの向上というメリットがあるにも関わらず、FCが優先される傾向があります。特に中規模から大規模のエンタープライズ環境の一部のユーザーでよく見かけられますが、その大きな理由の1つが、FCが導入や展開がしやすいことにあります。しかし、IPベースのソリューションには、FCと比べてコストを最大89%も低く抑えられるケースもあるのです(*1)。
さらに、「SFSS」のような自動化された検出サービスは、他の運用環境(エッジやクラウド)でも大きな効果を発揮します。

自動検出機能の効果
これまでのNVMe/TCPの検出アプローチでは、各サブシステムのすべてのホストで、以下の3つのステップを繰り返す必要がありました。まず、ホスト管理者は、指定のIPアドレスのDiscovery Controllerにホストを接続します。次に、ストレージ管理者が、名前空間(ストレージ ボリューム)をホストのNQN(NVMe Qualified Name)にプロビジョニングします。これで初めて、ホスト管理者は、このサブシステム上のI/O Controllerを検出して接続できるようになります。

ホストとストレージ エンドポイントが小規模なファブリックであれば、このプロセスでも十分かもしれません。しかし、ファブリックの規模が大きくなると、ホスト上の各ストレージ サブシステムを手動で設定して検出することは難しくなり、エラーの恐れも高くなります。

自動検出をサポートする新しい標準ベースのCentralized Discovery(集中検出)機能によって、初期設定をした後、ユーザーは各サブシステムで各ホストについて、以下のステップ2と3を繰り返すだけで済みます。これによって、導入・展開の所要時間を短縮できるだけでなく、潜在的なエラーの可能性も最小限に抑えることができます。

  1. ホストとサブシステムが、自動的にCDC(Centralized Discovery Controller:集中検出コントローラー)を検出して接続し、検出情報を登録
  2. CDCでゾーニングを実行(オプション)
  3. ストレージ管理者が、ホストNQNに名前空間をプロビジョニングし、ストレージは、CDCにゾーニング情報を送信
  4. ゾーニング後、ホストはAEN(Asynchronous Event Notification:非同期イベント通知)を受け取り、Get Log Pageを実行し、各I/O Controllerに接続

自動検出のプロセス

2022年12月リリース「SFSS Release 1.3.0」の新機能
これからもデル・テクノロジーズは、お客様がNVMe/TCPのメリットを活用できるよう、利用環境の簡素化に取り組んでいきます。12月の最新リリースでは、あらたに「Dell PowerStore」のPowerStore OS 3.X、「Dell PowerEdge」のVMware ESXi 8.0、「Dell PowerSwitch Z9664」をサポートしました。

検証済みのデル・テクノロジーズ製品一覧

導入・展開の自動化としては、VMware ESXi 8.0およびRHEL 9.1(テクノロジー プレビュー)をあらたにサポートしました。現在サポートしているすべてのOSのリストは以下のとおりです。

SFSSにてサポートされるOS一覧

デル・テクノロジーズは、このような先進機能をお届けできることを嬉しく思うとともに、お客様がNVMe/TCPテクノロジーによって、ワークロード パフォーマンスの向上とコスト削減を実現できるよう取り組んでいきます。詳細は、NVMe IP SANソリューション ブリーフおよび「SmartFabricストレージ ソフトウェア」仕様書をご覧ください。また、デル・テクノロジーズのWebサイトにおいて、今すぐに導入して活用する方法をご確認いただけます。

*1. デル・テクノロジーズ社内分析に基づく(2022年9月)。 実際の結果は変動する場合があります。