細分化ニーズへの対応を進め、期待を裏切らない価値を提供する

「デスクトップ回帰」に応える幅広い製品ポートフォリオを提供

デル・テクノロジーズ株式会社 常務執行役員 クライアント・ソリューションズ統括本部長 山田 千代子氏

コロナ禍を機に普及したテレワークにより、在宅やサテライトオフィスでのPC環境を見直す動きが広がりを見せている。

急場をしのぐだけならノートPCで十分だが、画面が大きく、拡張性・柔軟性も高いデスクトップPCのほうが、生産性は向上する。強力なマシンパワーが求められるエンジニアリング部門はテレワークの蚊帳の外に置かれていたが、ハイスペックなデスクトップPCやワークステーションを使えば、快適にテレワークが行える。「コロナ禍の長期化が、こうした“再発見”を促し、今、『デスクトップ回帰』の流れが進んでいます」とデル・テクノロジーズの山田 千代子氏は述べる。

この変化に応えるべく同社では、顧客の声を基に、ニーズを捉えた製品開発に力を入れている。設置面積を極限まで最小化したゼロフットプリントの超薄型PC「OptiPlex 7090 Ultra」および「OptiPlex 3090 Ultra」はその1つだ。

独自のコンパクト設計でモジュール化されたPC本体はモニタースタンドの背面に収納し、省スペースのオールインワン型PCのように使える。PC本体は抜き差し可能で可搬性が高い。モニタースタンドさえ用意しておけば、PC本体を抜き差しすることで、オフィスでも自宅でも画面の大きいデスクトップ環境で仕事ができるわけだ。

「テレワークの常態化とともに、こうした使い方をするお客様が増えています。自分の仕事や働き方にとって最適なPC環境を選ぶお客様も多いため、外付けモニターやヘッドセットなど周辺機器のポートフォリオ拡充にも努めています」と山田氏は話す。

課題解決に向けた提案力を強化 納期の提示もより正確に

ポートフォリオの拡充とともに注力しているのが、顧客の課題解決に向けた提案力である。その一環として、これまでの直販モデルに加え、SIベンダーやリセラーをはじめとするパートナーとの連携を強化した。製品やソリューション提案の際にはパートナーと共に、顧客を訪問することも多いという。

PC単体だけでなく、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器も含め業務を支えるインフラ全般をワンストップで提供できるのがデル・テクノロジーズの大きな強みである。事例も豊富にあり、その中で培った知見やナレッジも提供可能だ。「提案の際には、パートナーと並んで意見や提案を求められることも少なくありません。こうした期待に応えるのも当社の重要な責務と考えています」と山田氏は語る。

グローバル・サプライチェーンの調達力と見える化にも磨きをかけた。豊富な製品ポートフォリオを支える部材について、どこに・何があるかが、より速く正確に把握できるようになったという。「滞留在庫を極限まで削減し、納期もより正確に伝えられるようになりました」と山田氏は成果を述べる。

環境対策とPC LCMを推進 最短当日出荷の即納モデルも

これまで紹介した既存の戦略に加え、新たに3つの施策にも取り組んだ。

1つ目が環境対策の推進である。温室効果ガスの削減を目指す国際イニシアチブのSBT(Science Based Targets)に参加し、環境負荷の少ない部材の利用、サプライチェーンにおけるCO2排出削減、回収PCのリサイクルなどを促進している。この活動はSBTのモデルケースの1つとして環境省に認定された。「メーカーの環境対策は、お客様のPC選定基準の重要な指標の1つになっています。この点を評価し、当社のPCを選択したというお客様も増えています」と山田氏は話す。

2つ目はPCのライフサイクル全般にわたるサービスメニューの強化だ。PCの導入提案やその後のサポートに関しては「宮崎カスタマーセンター」の活動を展開。顧客から高く評価されている。これに加え、PCのデプロイ、管理、廃棄を支援する多様なサービスを充実させた。「安心して当社製品を使い続けられるように、お客様のPCライフサイクル管理に関する手間と不安の軽減を図りました」と山田氏は説明する。

そして3つ目が即納モデルの拡張である。要望の高かった法人向けデスクトップPC「OptiPlex」シリーズを即納できるようにした。受注後、最短当日に出荷し、1~2日で製品が手元に届く。さらに、届いてすぐ使えるように、工場でのキッティングにも対応しているという。

PC導入の“新しい選択肢”も用意していく。それが「Dell Technologies APEX」である。これはデル・テクノロジーズの製品やソリューションを資産として持つことなく、従量制で利用できるようにするもの。今後、日本でのサービス提供開始も予定しており、将来的にはPCもその対象になるという。「調達、資産管理、保守などの負担を減らしたいというお客様のニーズに対応したものです」と山田氏は語る。

デル・テクノロジーズのPCを軸に、働き方改革や生産性向上を実現した企業も多い。3DCG制作会社のサンジゲンは、リモートワークステーション環境の実現により、以前は難しかった遠隔拠点での3DCG制作が可能になった。

化学メーカーの三洋化成工業はOptiPlexシリーズなどを活用することで、オフィスのレイアウト変更や人の異動に柔軟に対応できるようになった。ワークスペースも広く取れるようになり、働きやすさも向上した。

山形県庄内地域の中核医療機関である日本海総合病院は、病院情報システムにつながる1100台の端末全台を最新PCに更新。端末の処理性能が大幅に向上し、医療業務の効率化につながっている。

2021年9月に大手町オフィスに開設するデモセンターでは、こうした先進事例やそれを支える製品ポートフォリオを幅広く紹介し、顧客の変革を支援する。今後もデル・テクノロジーズは製品ポートフォリオ、サービス・サポートの拡充を進め、顧客の“期待を裏切らない”価値の提供に注力していく考えだ。

日経BP社の許可により、2021年9月28日~ 2021年10月25日掲載 の 日経 xTECH Special を再構成したものです。

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